プロフィール

 ◆はじめに

   私は、共同体の権利(入会権、漁業権、水利権等)、埋立問題、脱原発、ごみリサイクル問題等を研究している研究者で、明治学院大学国際学部に約30年間
  所属した後、2018年3月に定年退職しました。
   1976年以来、各地の漁民・住民の運動をサポートしてきましたが、定年退職により増えた自由時間を活用して一層サポートに取り組みたいと思っています。

 ◆テーマ

  〇埋立・ダム・原発問題

   埋立問題に取り組み始めたのは、1976年のこと。鹿児島県の志布志湾開発計画(志布志湾を埋め立てて大規模コンビナートを造ろうとする県・国の計画)
  に反対する住民運動に関わったのが、そのきっかけです。志布志にはどっぷりはまりこんで、住民の助っ人としてその後15年余りも関わり続けました。
   その中で、共同体の権利に目を開かされ、特に漁業権について研究することになりました。難しく聞こえるかもしれませんが、わかりやすく言えば、
  持続的な、生命を尊重した社会を創るためには、どうすればよいか、という研究です。漁業権は沿岸地域の住民が地先水面の水産資源を持続的に利用して
  いくような、地域社会の基盤となる権利だからです。

   志布志湾以降も、全国各地の埋立・ダム・原発計画をめぐり、住民・漁民の運動から助言を求められることが続き、現場に関わる度に、住民・漁民の権利
  についての知識が深まっていきました。
   主なものをあげれば、埋立では、佐賀県唐津市の佐志浜埋立、沖縄県石垣島白保の新石垣空港計画、高知県夜須町大手の浜のマリーナ計画・エコポート計画、
  兵庫県相生市の埋立計画、熊本県天草市のマリンタウン計画、大分県佐伯市大入島石間の埋立計画、有明海諫早湾、ダムでは、川辺川ダム・荒瀬ダム(熊本県
  球磨川)、徳山ダム(岐阜県揖斐川)、津軽ダム(青森県岩木川)、黒部川(富山県)のダム排砂問題、原発では、上関原発計画(山口県)、島根原発3号機
  増設問題などです。今も、沖縄県辺野古の埋立問題、上関原発計画などに関わっています。
   漁民間の争いに関しても、茨城県の鹿島灘漁協から密漁問題で相談を受けたり、三重県や愛媛県や熊本県天草の漁民から漁業権をめぐる争いで相談を受けた
  りして、海区漁業調整委員会や県漁政課や裁判所で見解を述べてきました。また、アイヌ民族のサケ採捕の権利に関しても、花崎皋平氏やアイヌ民族の運動から
  依頼され、調べて意見を述べたことがあります。

   住民・漁民の権利に基づいて埋立・ダム・原発等の計画を止めることができた例も約20例あります(勝率は約7,8割、プロ野球なら優勝も可能なくらいです)
   埋立では、沖縄県石垣島白保の新石垣空港計画、高知県夜須町大手の浜のマリーナ計画・エコポート計画、熊本県天草市のマリンタウン計画、大分県佐伯市
  大入島石間区地先の埋立計画は中止を実現することができました。有明海では、関わる時期が遅すぎて諫早湾埋立計画自体を止めることはできませんでしたが、
  関連事業の導流堤工事を中止に追い込みました。
   ダムでは、川辺川ダムを中止に追い込むとともに、荒瀬ダムの撤去も勝ち取れました。
   原発では、島根原発3号機では、住民の持つ権利に関しては、判決で私の主張を認めたものの、原発からの温排水がノリに損害をもたらすか否かの因果関係で
  逃げられて建設を止めることはできませんでしたが、上関原発計画では、中国電力が判決に基づいて埋立工事に着工しようとするのに対して、住民・漁民が身体
  を張るとともに、小中進氏(「原発いらん!山口ネットワーク」代表)が私から学んだ法律論を述べることで、5、6回着工を止めてきています。
   漁民間の争いに関しては、茨城県、三重県、愛媛県、熊本県のいずれの事例においても私見通りの成果を得ることができました。

  〇脱原発

   1985年に吉田正雄参議院議員(当時)から資源エネルギー庁が発表していた「電源別発電原価のモデル試算」に対する反論を依頼され、作成して国会で質問し
  ていただいたことはあった(資源エネルギー庁も反論を認めました)ものの、原発問題に本格的に取り組んだのは、2011年3月の福島第一原発事故以降です。
   以来、脱原発に関し、四冊の本を書きました。後掲の「主な著書」の12〜15を参照してください。

  〇ごみリサイクル・循環型社会問題

   ごみ問題には、1981年以来取り組み続けています。
   処分場、ダイオキシン、容器包装リサイクル、家電リサイクルなど、ごみ問題・リサイクル問題は深刻かつ重要になる一方です。人類が従来のような果てしな
  い生産・消費の拡大を続けていくことは資源と環境の両面から不可能であり、来世紀に向けての資源循環型社会創りは人類史的課題とさえ言えます。
   日本でも表面的には資源循環型社会創りが始まりましたが、政府の取り組みは企業サイドに立っており、消費者、市民に費用負担させ、企業責任を骨抜きにし
  た循環型社会創りが進められています。それに対して市民サイドからの政策批判及び提言を続けています。

 ◆主な著書

   1. 過剰社会を超えて(八月書館,1985)
   2. これからの日本農業(岩崎書店,1986)
   3. 埋立問題の焦点(緑風出版,1986)
   4. 持続的開発と生命系(学陽書房,1995)
   5. ごみ問題への視点(三一書房,1995)
   6. ごみ行政はどこが間違っているのか?(合同出版,1999)
   7. これでわかるごみ問題Q&A(合同出版,2000)
   8. 公共事業はどこが間違っているのか?(まな出版企画発行;れんが書房新社発売,2000)
   9. 日本の循環型社会はどこが間違っているのか?(合同出版,2009)
   10. 海はだれのものか(日本評論社,2010)
   11. よみがえれ!清流球磨川(三室勇氏,木本生光氏,小鶴隆一郎氏と共著,緑風出版,2011)
         
   12. 脱原発の経済学(緑風出版,2011)
   13. がれき処理・除染はこれでよいのか(辻芳徳氏と共著,緑風出版,2012)
   14. 電力改革と脱原発(緑風出版,2014)
   15. 電力改革の争点(緑風出版,2017)
   16. 漁業権とはなにか(日本評論社,2018)

 ◆略歴

   『漁業権とはなにか』(2018.1.25)掲載の略歴