〇島根原発3号機(島根県)

◇2021年9月1日
 1.島根原発3号機と宮崎鼻
  島根県松江市鹿島町片句地区は、中国電力島根原発の西側に隣接した地区です。
  片句地区には「宮崎鼻」という岬があり、そこでは岩のりを初めとした海草を採取できます。地元では、そのような海草採取を行なう岬を「の
 り島(のりじま)」と呼び、海草採取の権利を「のり島の権利」、その権利者を「のり島権利者」と呼んでいます(実は「のり島の権利」は入会
 権なのですが、ここではその説明は省きます。詳しくは拙著『漁業権とはなにか』184-192頁参照)。また、宮崎鼻は、釣り場としても有名で、
 「釣り広場.com」というインターネットサイトにも紹介されており、多くの釣り人が訪れています。
  釣り広場.com
  中国電力は、島根原発2号機増設の際には、片句地区の「のり島権利者」と交渉を持ち、補償契約を交わして補償を支払いましたが、3号機増
 設にあたっては、当初、宮崎鼻全体を島根原発の敷地に組み込む計画を立て、「のり島権利者」と土地の売買交渉を行ないました。ところが、
 売買交渉が難航したため、宮崎鼻を除外した敷地計画に変更し、3号機増設に反対する「のり島権利者」を無視して、また、平塚義夫氏が2004
 年に宮崎鼻に建設した釣り人用の小屋の存在も無視して3号機増設を進め、2005年に原子炉設置許可を受けたのです。
  以上のように、島根原発3号機は、宮崎鼻の土地所有権・「のり島の権利」、及び小屋の所有権という財産権を無視して違法に増設されたので
 す。
 2.平塚義夫氏の「要請および質問書」の提出
  2021年8月25日、平塚義夫氏が原子力規制委員会に「要請および質問書」を提出しました。2005年設置許可に関して4項目の質問をするととも
 に敷地境界のテロ対策が不十分で不審者が侵入する恐れがあるとして、島根原発3号機の稼働の前提となる新規制基準適合性審査に合格を出さない
 よう要請する書面です。
  次に、要請および質問書、及び平塚氏の取組みを紹介した山陰中央新報の記事を掲げます。
  平塚義夫氏「要請および質問書」
  山陰中央新報2021.8.28
  実は、この書面提出の契機となったのは、本年6月に成立した重要土地利用規制法です。基地や原発等の周辺の土地利用を監視し、安全保障を脅か
 す土地利用を確認すれば所有者に中止を勧告・命令できるとした同法は、悪法に違いありませんが、平塚氏は、同法を逆手にとって、宮崎鼻の土地利
 用が安全保障を脅かす可能性があるにもかかわらず、それを無視して3号機の稼働を進めようとしている中国電力や国に切り込んだのです。
  山陰中央新報記事にあるように、平塚氏の「要請および質問書」に関して、8月27日に現場を視察した亀井亜紀子衆院議員が政府に質問主意書を
 提出するとのことです。
  「要請および質問書」及び質問主意書への回答がどうなるか、注目されます。
  8月27日現場視察の写真

◇2021年9月2日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.4282
  9月1日にHPに記した内容がたんぽぽ舎MLニュースNo.4282にが掲載されましたので、次に揚げます。
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4282

◇2021年9月11日
1 原子力規制庁の回答書
  平塚義夫氏の2021年8月25日付け「要請および質問書」に対し、原子力規制庁が回答をしてきました。次に掲げます。
  原子力規制庁の回答書(2021.9.1)
  簡潔な回答ですが、内容的には、次の①~②のような重要な点が記されています。
  ①島根原発3号炉増設に係る設置変更許可の申請書には小屋について書かれていないこと
  ②今後、核物質防護規定の変更認可申請等があれば、核物質防護対策について厳正に審査すること
  中電からの申請書には小屋のことが記されておらず、「要請および質問書」によって初めて規制庁が知ったことは大変大きいと思います。
  重要土地利用規制法が成立したこともあって、今後、中電は、小屋を含めるような変更認可申請を出さざるを得なくなり、先の変更認可申請書に
 小屋を含めていなかった瑕疵を認めざる得なくなると思われます。
  中電が如何に対処するか、楽しみになってきました。