〇辺野古基地埋立問題(沖縄県)

  国が米軍普天間基地の移設を目的として沖縄県名護市東海岸の辺野古地区の地先海面を埋め立て、辺野古基地を建設しようとしている問題です。

 1.辺野古基地建設に関し、次の①~③を主張しています(詳しくは拙著『漁業権とはなにか』参照)。
  ①漁協が総会決議で「共同漁業権の一部放棄」決議を挙げても、それによって共同漁業権が変更されるものではない。
    これは水産庁が数十年にわたって通達等で示してきた見解ですが、佐藤一雄前水産庁長官が首相官邸から圧力をかけられ、見解を変更する文書を出しました。
    佐藤長官が出した通知を次に掲げます。
    佐藤水産庁長官通知(2017.3.24)
    加計学園事件での前川喜平前文科省事務次官への圧力と同様、佐藤前水産庁長官への圧力も首相官邸の和泉洋人首相補佐官が行なったようです(佐藤氏の場合
   は首相も同席)。
    今後の埋立全般に係ることからすれば、加計学園事件よりも大きな禍根を将来に残すものです。早急な是正が必要です。
  ②立入禁止海域での埋立は違法
    埋立の手続きを定めた公有水面埋立法は、公共用水面(海や川など一般公衆の共同使用に供されるもの)にしか適用できません(第1条に明記されています)。
    ところが、国・米軍は、辺野古埋立海域を立入禁止海域に指定しました。立入禁止により公共用水面でなくなった海域においては公有水面埋立法に基づく手続
   きはできません。ですから、埋立承認もその法的根拠を失っており、国の進める辺野古埋立工事は違法工事です。
  ③名護市東海岸沿岸の漁民・住民は名護市東海域に入会漁業権を持つ
    共同漁業権は、入会漁業権に由来する権利です。漁村部落の持つ入会漁業権を背景として、漁村部落の入会集団に共同漁業権を免許しているのです。
    沖縄県では、明治時代に漁業法に基づいて専用漁業権(共同漁業権の前身)を入会集団の創った漁業組合に免許していましたが、東海域の東村から金武町
   までは免許がなされませんでした。しかし、免許がなされなくても入会漁業権はなくならず、慣習に基づいて存続します。復帰後、東村の漁民は国頭漁協に
   属しました。宜野座村、金武町の漁民は、それぞれ漁協を創って共同漁業権の免許を受けました。ところが、名護市東海域に設定された沖縄第5号共同漁業権
   は、戦前から西海岸に創られていた名護漁協に免許されてしまったのです。
   名護漁協の組合員約120名のうち約100名は西海域で漁業を営んでおり、辺野古埋立による漁業被害は受けません。東海岸に住む組合員は20名程度しかいません。
   ところが、辺野古埋立に伴う補償金は名護漁協に支払われ、東海岸組合員には一人当たり約3千万円、西海岸の組合員には一人当たり約2千万円が配分されたと
  言われています。沖縄第5号共同漁業権は、名護市東海域に入会漁業権を持つ入会集団の創る漁協に免許されるべき共同漁業権です。それを無視して、西海岸の
  名護漁協に免許されていること、そして名護漁協の総会決議に基づいて国が埋立を進めていることが、名護市東海岸住民・漁民の持つ入会漁業権を違法に侵害し
  ているのです。
   2に述べる名護市東海岸漁協設立の取組みは、この状況を改め、名護市東海域を入会集団の手に取り戻そうとする取り組みです。
   以上のことは、漁業法をかなり勉強しないと理解できません。詳しくは拙著『漁業権とはなにか』を参照していただきたいですが、理解の助けになる図を次に
  掲げておきます。
   沖縄 共同漁業権 リスト・地図

 2.名護市東海岸漁協設立の取組み
   名護市東海岸沿岸の漁民・住民は、1③の入会漁業権を明確にするべく、名護市東海岸漁協の設立に取り組んでいます。
   2017年11月24日に創立総会を開き県に認可申請したのですが、書類上のミスなどのため、認可をより確実にするべく、いったん認可申請を取り下げ、再申請を
  することにしました。
   名護住民35人が「東海岸漁協」設立 顧問に稲嶺前市長 沖縄県に認可申請へ
   稲嶺進前名護市長も顧問に就任してくださいました。
   名護市東海岸漁協の設立・認可に向け、カンパも要請中です(次のファイルの記事及び要請文を参照)。皆様の応援を宜しくお願いいたします。
   稲嶺氏顧問就任及び名護市東海岸漁協へのカンパ要請文
   追記:おかげさまで認可申請に向けたカンパは目標額を達成したため、カンパ要請は一時停止中です。認可後にカンパ要請を大々的に再開します。

   2018年3月24日に設立準備会開催、4月20日に創立総会を経て、5月9日に県に関係書類(定款や議事録等)を提出し、認可申請をしました。認可についての
  知事の判断は申請後2カ月以内に出されることになっていますので、知事判断は7月8日までになります(知事が報告書提出の要求を発したときは、その日から
  その報告書が知事に到達するまでの期間は延期されます)。
   名護東海岸漁協 認可求め再申請
   認可を心待ちにしている方々からしばしば問い合わせを受けるため、以下、認可に関する法律を説明しておきます。
   協同組合は、本来、設立自由(「設立自由」は協同組合原則の一つ)の団体です。水産業協同組合法でも「法律の定める要件を備えれば、必ず認可がなされ、
  組合が設立される」とされています。「法律の定める要件を備えれば必ず認可がなされること」を認可主義と言います。協同組合の設立は認可主義に拠るのです。
   「法律の定める要件」に関し、水産業協同組合法第64条には次の①、②のいずれかに該当する場合を除き、設立の認可をしなければならない、と規定されて
  います。
   ①設立の手続き又は定款若しくは事業計画の内容が、法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反するとき
   ②事業を行うために必要な経営的基礎を欠く等その事業の目的を達成することが著しく困難であると認められるとき
   名護市東海岸漁協の認可申請に関しては、①については全く問題ありませんので不認可とする理由は②しかあり得ませんが、②についても過去の認可事例を
  十分に踏まえて申請していますし、水産庁協同組合課編『水産業協同組合法の解説』には「組合が真に経営的基礎を欠いているか否かは現実に組合が設立され、
  事業活動を行なった後でなければ明確に判断できないのは当然であ」るとされていますから、よほどの政治的判断が入らない限り、不認可とされることはあり
  得ません。
  ・2018年7月9日に沖縄県から不認可理由書が届きました。
   不認可理由書
   法的理由としては、現在の組合員には法人組合員(個人の漁民でなく法人の組合員)が居ないので、定款の組合員資格に法人組合員を入れませんでしたが、将来
  法人組合員が加入を希望する可能性もあるので、加えておくべき、との指摘です。認可後に定款変更の手続きをとれば済む程度とも思いますが、瑕疵であったこと
  には違いありません。
   不認可とされたのは残念ではありますが、法人組合員の点を含め、不認可理由の1,2,4は修正を加えれば対応可能です。問題は3ですが、これに関しては、沖縄県
  が水産業協同組合法の解釈を誤っていると思われます。早速、理由3への反論をまとめて送ったところ、7月12日の県からの不認可に関する説明を聞く機会に県に提出
  されました。
   反論書は、次の通りです。よく読めば、反論が正しいことを理解していただけると思います。
   不認可理由3への反論書
   今後、反論書への県の回答等を踏まえて再申請するか否かを判断することになりますが、入会漁業権を確認し、大浦湾を地元住民・漁民の手に取り戻そうとする
  熱意はとても強いので、再申請することになると思われます。ご期待下さい。
  ・再申請への取組みが始まりました。7月20日から目論見書の公告を開始しました。2週間の公告を経て8月3日に設立準備会を開催します。
  ・8月3日、設立準備会を開催、順調に議事を終えました。
   また、県からも、不認可理由書の水産業協同組合法の解釈を間違っていると思われる部分について詳しい説明書が送られてきて、違法性の疑念(私見との違い)は
  解消しました。
  ・8月22日、創立総会を開催、順調に議事を終えました。近日中に認可申請することになります。
  ・8月27日、名護市東海岸漁協の認可申請を行ないました。
◇11月8日(木)
  お待たせしました。久々の更新です。
  認可申請についての沖縄県の判断は、11月15日か16日になるとのことです。
  水協法では、原則的には「認可か否かの判断は認可申請後2カ月」とされていますが、県が申請者に質問した場合には、質問から回答が得られまでの間は、その分
 延期されるともされています。
  申請が8月27日でしたから、原則的には10月26日までですが、認可要件の「定款と事業計画」のうち、定款には全く問題ないものの、事業計画に関して質問があっ
 ため、10月26日よりも延びているのです。
  質問はいくつかあったようですが、最後の一問への回答を今日、11月8日にするとのことです。
  定款は少しでも欠陥があれば、それを根拠に不認可になりますが、事業計画は「事業目的を達成することが著しく困難と認められるとき」でなければ不認可にできな
 いし、水協法の解説書には「著しく困難かどうかは、組合が設立され、実際に事業活動をやってみなければわからない」と説明してあるし、県からの質問―回答の経緯
 は、「約10項目の質問→回答→1項目の再質問→回答(11月8日)」ですから、どう考えても判断は決まっています。
  県は、「15、16日頃判断を出します」と言っているそうです。
  11月15日(木)又は16日(金)、名護市東海岸漁協は認可されます。

◇11月18日(日)
  8日に「認可されます」と書いておきながら、申し訳ありませんが、16日、不認可の判断が出ました。
  理由書は、次の通りです。
   不認可理由書
  要するに、①漁業経験者が少なすぎる、②事業計画に比し、施設が貧弱すぎる、の二点です。この理由書を見て、呆れました。こんな理由なら、再申請の当初からわ
 かっていたことで、判断は1日でできたはずだからです。
  ①にしても、新しい漁協創設の際に漁業経験者が少ないのは当たり前のことなので、「90日以上漁業を営む意思」が漁船や漁具等をそろえることで客観的に示されれ
 ばよいということになっており、県も同様の意向だったので、他の漁協と比べて遜色ない程度までそろえたのです。その努力を全く無視して①の理由を提示するとは、
 おかしなことです。ましてや、例の違法看板で、海に入ったら逮捕もあり得るとの脅しを6年前からかけ続け、住民・漁民が海には入れない状況を県がつくっていた
 のですから、自らの責任を棚上げにしているというほかありません。
  沖縄県水産部は、初めから「申請をあきらめろ」と言わんばかりの対応でした。新しく漁協を創ろうという取組みに水産振興を担当している県の役人として示しては
 ならない態度です。その態度が、ずっと最後まで一貫していたということです。
  水産部のこの姿勢は、翁長知事及び玉城知事の意向と反するはずです。しかし、今回、私の経験でも初めて分かったのですが、知事の意向と事務方の意向は必ずしも一
 致しているとは限らないのです。鳩山政権の時、官僚の抵抗で鳩山政治が実現しなかったことと同じです。

  しかし、これしきであきらめる私たちではありません。
  これから、県の判断を仰ぐ必要がない、任意組合創りに取り組んでいきます。
  名護東海岸における「入会漁業の復活・再生」の取組みは、これからがようやく本番です。
  お楽しみに。ご期待ください。

◇12月21日(日)
  名護東海岸で、海を住民の手に取り戻すための入会漁業組合づくりが始まりました。
  入会漁業権と辺野古埋立との関係を文書にまとめましたので、次に掲載します。
   辺野古埋立と入会漁業権
  旗上げは1月半ばの予定です。
  ご期待ください。

◇2019年1月12日(土)
  1月11日に名護市東海岸入会漁業組合を旗上げしました。
  名護市東海岸に住む住民・漁民が入会漁業権を持っていることを明確にするための組合です。入会漁業権については、上掲「辺野古埋立と入会漁業権」をご覧下さい。
  今後、組合の規約を作ったり印鑑を準備したりして、1月25日に名護で記者会見を行ないます。記者会見には私も出席します。

◇2019年1月27日(日)
  1月25日、名護市で沖縄の新聞・TV全社参加のもと、名護東海岸入会漁業組合の記者会見を持ちました。関心は高く、かつ反応も上々だったと思います。
  同日、県民投票を三択で実施するとの合意が得られたため、報道では、そちらの方が大きく扱われましたが、NHKもニュ―スでとりあげ(民報は見ることができません
 でしたので不明)、また、沖縄の新聞二社にも記事が掲載されました。
  記者会見での主旨説明のチラシ、及び新聞記事を以下に掲げます。
   入会漁業組合の設立主旨
   琉球新報記事(2019.1.26)
   沖縄タイムス(2019.1.26)
  入会漁業組合は任意組合ですから、認可を得る必要はなく、今後、組合員が入会漁業や自由漁業を営んでいきます。また、国に対して、入会漁業権を侵害する埋立工
 事をやめるよう要請したり、県に対して入会漁業権の侵害を理由にして「埋立承認の撤回」をするよう要請したり、様々な行動を起こしていきます。
  名護東海岸入会漁業組合の取組みに賛同していただける方は、カンパ先の口座番号を主旨説明書に記していますので、ご支援をよろしくお願い致します。

◇2019年2月11日(月)
  1月25日記者会見が赤旗電子版に掲載されましたので、サイトを次に掲げます。
  「反辺野古」新漁業組合

◇2019年3月3日(日)
  3月2日、名護市東海岸入会漁業組合の事務所開きが開かれました。事務所には、電話・ファックスも入りました。Tel/Faxは、0980-55-8777です。
  依頼を受け、事務所開きに送ったお祝いのメッセージを次に掲げます。

   名護市東海岸入会漁業組合 事務所開きメッセージ
   入会漁業組合の皆さん、事務所開き、おめでとうございます。
  事務所開きに至るまでの皆さんのご努力に敬意を表するとともに、事務所開設を共に喜びたいと思います。
  名護市東海域を住民の手に取り戻し、子々孫々にわたる地域振興の基盤とするべく、今後とも共に頑張りましょう。

◇2019年3月8日(金)
  沖縄タイムス3月7日に入会漁業組合の漁の開始のことが掲載されましたので、次に掲げます。
   「入会権」で漁開始へ
  記事には「水産庁は権利の存在否定」と載っていますが、私は、入会漁業権に関して、水産庁で「漁業法の神様」と呼ばれてきた浜本幸生氏(1999年11月逝去)から20
 年近く学んだ経験を含め約40年研究してきていますので、ご安心ください(詳しくは、拙著『漁業権とはなにか』をお読みください)。
  今後の論争が楽しみです。
  なお、1月27日に掲げた「入会漁業組合の設立趣旨」には名護市東海岸入会漁業組合の口座番号に支店名が記されていませんでしたので、修正したものに入れ替えておき
 ました。新しいものには支店名を入れていますので、皆さんのご喜捨をよろしくお願いいたします。

◇2019年3月11日(金)
  入会漁業権が存在することを解説した沖縄タイムス3月10日記事を次に掲げます。
   入会漁業権「存在する」
  なお、最後に「以上の私見に水産庁の担当者も同意済みである」と書きましたが、同意内容は、正確には、14条11項の解釈及び海区漁業調整委員会の指示内容で、「住
 民も採捕した水産物を継続的に販売すれば『漁民』になる」は含まれていません。しかし、それは、漁業法上の定義から当然に言えることなので、それを含めて「同意済
 み」と書いた次第です。それを含めて同意済みであるかのような誤解を招いたとすれば、謝ります。
  ともあれ、入会漁業権が存在することには、何の変わりもありません。

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   名護海岸看板
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