〇ご神木けやき伐採問題(東京都)

◇2023年7月29日
 1.ご神木けやきが伐採の危機に
  杉並区西荻北二丁目に大けやきがあります。三峯神社のなかに生育していたため、地域住民から「ご神木」と崇められ、かつ、
 親しまれてきた巨木です。
  ところが、三峯神社の地主の市川豊氏が亡くなり、隣接する市川邸と共に相続された後、ディベロッパー(清水総合開発㈱、三信
 住建㈱)が所有するに至り、現在、マンション建設がもくろまれています。
  ご神木けやきの写真・位置、ご神木けやきと三峯神社の写真を次に掲げます。
   ご神木けやきの写真・位置
   ご神木けやきと三峯神社の写真9枚
 <解体工事発注者と近隣住民との交渉>
  解体工事は、7月3日から始まりました。解体工事の発注者等は、次のとおりです。
   発注者:清水総合開発㈱、三信住建㈱
   総合企画:日本ユナイテッドヘリテージ㈱
   工事施工者:㈱ビルナックス
  次に、解体工事の説明書を掲げます。
   解体工事説明書
  ところが、発注者等は近隣住民のうち数戸の一戸建には戸別訪問したようですが、隣接マンションには各戸の郵便受けに解体工事
 説明書を投函したのみでした。
  そこで、マンション住民から説明会開催の要求したところ、発注者はいったんは開催すること及び開催の場所・日時を決めて連絡
 すること約束をしたのですが、約束の八日後に開催を断ってきました。
  また、発注者等は、次のような理由で、ご神木けやきの伐採はやむを得ない、としていますが、これらの理由の根拠は、「庭師の勘」
 に過ぎません。
  ⓵老齢化しており、弱っているので倒木の危険がある。強風で落枝する危険もある。
   被害が出た場合の責任は所有者が負わなければならない。
  ⓶根が地下で絡み合っているので、移植は困難。
  ⓷保存すると、掘削工事の際に根を切断するため、枯れたり倒れたりする危険がある。
  そこで、隣接マンション住民が、樹木診断を実施するから実施を認めてほしい旨の要求をしましたが、やはり断られました。
  以上の発注者等と近隣住民の交渉の経緯は次のとおりです。
   発注者等と近隣住民の交渉経緯
 <要綱・条例違反の問題>
  マンション住民に説明会を開かないことは、次の「解体工事に関する指導要綱(杉並区建築物等の解体工事及びアスベスト飛散防止に
 関する指導要綱」第7条に違反しています。
  第7条 発注者等は、解体工事を行おうとするときは、当該工事の内容等について、工事開始の7日前までに、近隣住民に説明会
     もしくは戸別訪問により説明しなければならない。
  また、「庭師の勘」だけで「伐採やむなし」の結論を出したうえ、近隣住民による樹木診断実施の要求を断ったことは、樹木保全の努力
 を全く欠いた行為であり、次の「杉並区みどりの条例」第9条に違反しています。
  第9条 何人も、現存する樹木を保全するよう努めなければならない。やむを得ず伐採したときは、同数以上の樹木を植栽するよう努め
     なければならない。
 <要望書提出と署名集め>
  発注者等から説明開催要求も、樹木診断も断られたため、杉並区のNGOの方々と19日に打ち合わせの会合を持ち、行政に対しては杉並区長
 への要望書提出、世論に対しては署名集めの二本立てで運動を展開することになりました。
  要望書は、7月25日に提出しました。次のとおりです。
   区長への要望書(2023.7.25)
  署名用紙は、次のとおりです。
   署名用紙
  オンライン署名の威力は凄まじく、開始後約一週間程度しか経っていないのに、もう7000を超えたそうです。
  このHPをご覧いただいた方で署名してくださる方は、オンラインで署名いただくか、署名後PDFファイルでkumamoto84@yahoo.co.jp
 宛お送りいただければ幸いです。

◇2023年7月30日
 1.ご神木けやき伐採問題がYaooニュースに掲載
  西荻ご神木けやき伐採問題がYaooニュース(2023.7.29)に掲載されましたので、次に掲げます。
   Yaooニュース(2023.7.29)

◇2023年8月1日
 1.署名簿10,123通を杉並区に提出
  西荻ご神木けやきを守る会で署名運動を展開していることは既に記しましたが、第一次締め切り(7月31日)までに集まった10,123名分を
 本日、杉並区(土肥野土木担当部長及び吉野稔みどり施策担当課長)に提出してきました。とても丁重な対応でした。
  杉並区の方からもいろいろ質問が出されました。法的問題点の指摘は、要望書に記された点のほかにありませんか、との質問もされたので
 「解体工事要綱と中高層建築物紛争条例」というタイトルの表を渡して説明しました、下に掲げます
   解体工事要綱と中高層建築物紛争条例
  この表は、私が西荻ご神木けやきを守る会の7月30日の会合で報告・説明したものです。時間が限られていたため、会全体としての共通認
 識にまでは至っていませんが、理解して下さった方々は、既に拡散して下さっています。
  土肥野部長・吉野課長への説明では、反論も否定的な反応もなく、理解して下さったように感じました(私のみならず、同行して下さった
 方々の印象も同じです)。土肥野部長は、区役所内の関連部局にも渡して下さるとおっしやってくださいました。
  署名運動は、今後も継続していきますので、引き続きのご協力をお願いいたします。
 2.清水総合開発等にメールを送信
  署名簿を提出後、発注者等の調整役、日本ユナイテッドへリテージの丸山達生氏メールを送りました。上掲の「解体工事要綱と中高層建築物
 紛争条例」の表も添付しました。
  丸山氏宛てのメールを過去のやり取りも含め、次に掲載します。
   丸山氏宛てメール
  署名集めも法的な攻めも順調にいっていると思います。

◇2023年8月2日
 1.ご神木けやき伐採問題が東京新聞Web版に掲載
  西荻ご神木けやき伐採問題が東京新聞Web版(2023.8.2)に掲載されましたので、次に掲げます。
   東京新聞Web版(2023.8.2)
  URLは次のとおりです。
 東京新聞Web版(2023.8.2)
 2.オンライン署名をお願いします
  遅ればせながら、東京新聞Webの記事で西荻ご神木けやきの保存についてのオンライン署名のサイトが分かりましたので、次に掲げます。
 オンライン署名
  これまでTwitterやInstagramでしかできないと思っていましたので、掲載が遅れました。すみませんでした。
  どうぞ、オンライン署名を宜しくお願いいたします。

◇2023年8月8日
 1.8月3日付け杉並区文書
  昨日、8月3日付け杉並区文書を受領しましたので、次に掲げます。
   杉並区文書(2023.8.3)
  杉並区がみどりの条例第9条に基づき発注者等に樹木診断を要望した結果、8月17日開始予定だった樹木伐採が延期されたことは、大変嬉しい
 ことで、これまでの取り組みの一応の成果です。
  しかし、一口に樹木診断といっても、その質はさまざまと聞きます。清水総合開発ほどの大企業になれば、親密にしている樹木医を何人も
 知っていることでしょう。
  そのような御用樹木医により樹木診断が実施されれば、かえって伐採を正当化する口実にされかねません。
  今後、御用樹木医による樹木診断実施を防ぐとともに、藤井英二郎千葉大学名誉教授の指導による樹木診断を要求していきたいと思います。
 2.清水総合開発宛要求書
  昨日、清水総合開発への要求書(要望書ではなく要求書)を内容証明・配達証明付きで郵送しました。次に掲げます。
   清水総合開発への要求書(2023.8.7)
  要望書でなく要求書としたのは、お願いではなく、条例・要綱に基づけば守らなければならないことを記しているからです。
  「要望」というのは「相手方に判断する権利がありますよ」、「拒否もできますよ」と言っているに等しく、初めから負けを許容するような行為
 だと思います。「要望書」という表現が当たり前のように通用している住民運動は、その体質を変える必要があると思います。
  有明海の汚染に苦しんでいる諫早の漁民に「これまで事業者の農水省に『お願いします』とばかり言ってきたから負け続けてきたのですよ。権利を
 持っているのは漁民ですから、お願いしなければならないのは農水省のほうで、農水省からお願いされたときにノーと言えばいいのですよjと言った
 ことがありますが、それと同じことです。
  本件の場合には、住民は権利を持っているわけではないので、少し違いますが、条例・要綱違反を突くことで、「要望」ではなく「要求」できるよ
 うになったのです。
  そのことを念頭に置きながら、上掲の要求書をお読みください。

◇2023年8月13日
 1.8月3日付け杉並区文書への補足
  8月8日のHPに掲載した8月3日付け杉並区文書について補足です。
  同文書には次のように記されています。
   ケヤキの本の保全のため、杉並区みどりの条例第9条を守らせるようにとのご要望についてですが、区長からの指示に基づき、7月26日と31日
  に事業者に対し、樹木の保全及び樹木診断の実施について要望いたしました。事業者からは当初予定していた8月17日からの樹木の伐採スケジュ
  ールは延期する旨の回答がありました。
  このように、杉並区は、清水総合開発に対して、「樹木診断」のみならず「樹木の保全」も要望したのです。「樹木の保全」は、伐採しないで
 保存することを意味します。つまり、「伐採しないでいただきたい」と要望したのです。
  区の要望に対して、清水総合開発は、とりあえず「8月17日からの伐採開始の延期」を決めましたが、今後、区の要望に反してご神木けやきを
 伐採することは、きわめて困難になったということができます。

 2.清水総合開発宛要求書への回答書
  8月8日のHPに掲載した清水総合開発宛要求書(2023.8.7)への回答書が届きましたので、次に掲載します。
   清水総合開発からの回答書(2023.8.10)
  簡潔に反論を記しますと、
  回答2は、要求書では解体工事計画書に関し、説明をしていないことを主張しているのに、「解体工事に樹木伐採は含まれない」との的外れ
 な回答をしています。
  回答3は、「樹木を保全するよう努めなければならない。やむを得ず伐採したときは‥‥」との規定なのに、何の努力もしないで(樹木診断に
 応じずに庭師の勘に基づいて)伐採することの説明にはなっていません。
  回答4は、予想された回答です。
  「条例に、そのような規定(樹木伐採についての規定)はない」ことは確かですが、要綱(解体工事要綱)にもなく、それ故に通常は、解体工
 事計画とマンション建設計画が併せて提出されるのに、本件では、解体工事計画だけが先行提出され、要綱に基づいて樹木伐採がなされようとし
 ていることの説明にはなっていません。それどころか、樹木伐採を解体工事計画書に含めたことの不当性をわざわざ回答2でしてくれています。
  とても有難い回答です。
 3.伐採延期を伝えるYahooニュース
  伐採延期を伝える記事がYahooニュースに掲載されましたので、次に掲げます。
   伐採延期を伝えるYahooニュース

◇2023年8月18日
 1.丸山氏から伐採延期のメールを受信
  発注者等の調整役、丸山達生氏から「伐採時期を延期した」旨の次のようなメールを受信しました。
   お世話になっております。
   当初盆休み明けから樹木伐採を予定しておりましたが、伐採時期を延期することといたしましたので、
  ご報告いたします。ご報告が遅くなり失礼いたしました。
   現時点では「伐採時期を遅らせる」ということのみが確定しており、それ以外につきましては確定しておりません。
   まずは解体説明会の開催日時が確定しましたらご報告させていただきます。
   よろしくお願いいたします。
  解体説明会も実施されそうです。その開催日時・場所の報告を受けたら、このHPに掲載します。

◇2023年9月5日
 1.第二次署名簿及び樹木伐採に関する区長宛要望書を提出
  4日に杉並区を訪ね、土肥野土木担当部長・吉野稔みどり施策担当課長に第二次署名簿及び樹木伐採に関する区長宛要望書・添付資料を提出して
 きました。
  第二次署名簿は、オンラインと用紙併せて2550筆でした。
  要望書及び添付資料1,2は次のとおりです。
   樹木伐採に関する区長宛要望書
   添付資料1
   添付資料2
  前回の区長宛要望書では、「庭師の勘」を根拠に樹木診断もしないでご神木けやきを伐採しようとしている行為が「みどりの条例」第9条に違反
 していることを指摘し、杉並区が清水総合開発等に「樹木保全」及び「樹木診断」を要望するという成果を生みましたが、今回は、「マンション建設
 計画は未定」と言って現存樹木の皆伐・更地化を企てている行為がみどりの条例第9条に違反していることを指摘しています。
  「みどりの条例」第9条を再掲しますと、次のとおりです。
  第9条 何人も、現存する樹木を保全するよう努めなければならない。やむを得ず伐採した時は、同数以上の樹木を植栽するよう努めなければ
  ならない。
  マンション建設計画を定めれば伐採される樹木が限定されるのに、本件では「マンション建設計画は未定」と言って、皆伐・更地化を企てて
 いるのです。「みどりの条例」第9条に定められている「現存樹木保全の努力義務」を怠っているばかりか、「現存樹木伐採の努力」をしてい
 るとさえ言えるでしょう。
  こんな行為が可能になれば、今後、杉並区におけるマンション建設では、同様の手続きで、樹木皆伐・更地化されることが横行してしまいます。
  加えて、4日の区との話し合いで明らかになったことがあります。8月3日区文書に杉並区が清水総合開発等に「樹木保全」及び「樹木診断」を
 要望した旨記されていますが、その対象となる樹木は、「ご神木けやき」だけでなく、旧市川邸にあるすべての樹木を含むということです。
  これはとても大きな成果で、本件では、現存樹木が不当に伐採される恐れはなくなったことを意味します。
  ですが、杉並区における今後のマンション建設で皆伐・更地化が横行しないようにするためにも、杉並区の清水総合開発等への要請・指導を期待
 したいものです。
 2.事業者等が「解体工事及び樹木伐採」についての文書を投函
  5日に事業者等からの「解体工事及び樹木伐採」についての文書が近隣住民に投函されました。
  次に掲げます。
   「解体工事及び樹木伐採」についての投函文書
  実は、説明会及び投函文書については、事前に丸山氏から打診があり、4日に次のような返信メールを送ったところでした。

   丸山達生様
    本日、杉並区を訪ね、第二次署名簿及び区長宛要望書を提出してきました。
    署名簿は、第一次締め切り(7月31日)以降に集まったもので、オンライン・用紙併せて2550筆を提出しました。
    要望書は、樹木伐採についての要望書で、資料1,2と合わせ、添付ファイルでお送りします。
    お問い合わせの説明会に関して西荻ご神木けやきを守る会の共同代表者の間で話し合いましたが、次の二点を明確にしていただいたうえで検討
   したいということになりました。
    ⓵8月3日付け杉並区文書についての発注者等の対応
    ⓶9月4日付け区長宛要望書に対する区の対応についての発注者等の対応
    上記二点についてのご連絡をお待ちしています。
    宜しくお願いいたします。

  以上のような次第で、上記二点についての事業者等からの連絡を待つことになりました。

◇2023年9月6日
 1.現在の旧市川邸写真
  西荻ご神木けやきを守る会の共同代表横田政郎さんが現在の旧市川邸の写真を撮ってくださいましたので、以下に掲載します。
  家屋は解体されて、ほぼコンクリートの基礎だけになっています。他方、樹木は、工事初期に道路にはみ出している枝等が少し伐採されましたが、
 ほとんど手つかずで保全されています。
   現在(2023.9.5)の旧市川邸写真(横田政郎氏撮影)
  家屋の解体中は騒音がすごかったですが、今は、ほとんど解体が終わったので静かです。
  ちなみに、現場責任者㈱ビルナックスの松井眞一郎氏は、工事が始まった当初、近隣住民の「騒音がすごい」との苦情に対して、「解体工事から騒音
 が出るのは当たり前だ」と言われました。近隣住民への配慮が必要な現場責任者がらは、なかなか聞けない名言だと感心しました。

◇2023年9月13日
 1.工事は中断中
  ここ数日は、工事は中断しています。次に、現況写真を掲載します。
   現在(2023.9.13)工事は中断中
  旧市川邸は、上物は解体されたものの、コンクリートの基礎部分が残っています。樹木伐採ができなくなっているとはいえ、コン
 クリート基礎の解体は可能なのですが、4,5日前にほんの少しだけ行なわれた後は全く手を付けられていません。おかげで、この上
 なく静かな状態が続いています。

◇2023年10月20日
 1.事業者が樹木診断を実施
  18日,19日に事業者がご神木の樹木診断を実施しました。
  18日夕方時点の写真を次に掲げます。2枚目の右にあるのがご神木です。
   樹木診断写真
  18日夕方にご神木の周辺を掘削しているとの情報が入り、掘削は根を切断して樹木を枯らす恐れがありますので心配しましたが、翌朝現場
 を訪ねて清水総合開発の露木氏と話をしたところ、樹木診断であることが分かって安心しました。
  ただし、樹木診断をしているのは、ご神木だけ。また、ご神木からは7m(最短距離)離れて直線状に掘っていますから、ご神木へのダメージ
 はそれほどでもないと思われますが、隣の木へのダメージは甚大です。
  振り返れば、ご神木けやきを守る運動は、7月14日に樹木診断の要請を断られたことから始まりました。
  それから3か月余り経って、事業者が樹木診断を実施せざるを得ないところまで追い込んだわけで、運動の成果があがっていることを物語
 っていると思います。とりわけ、8月3日付けの杉並区文書を引き出した効果が大きいと思います。
  この間、お力添えいただいた皆さんに感謝いたします。
  露木氏には、樹木診断の結果を知らせていただくことを約束を取り付けるとともに、私たちも樹木診断を実施するつもりであることを伝
 えておきました。

◇2023年10月31日
 1.杉並区からの回答書
  9月4日付け区長宛要望書に対する杉並区回答書が届きましたので、次に掲げます。
   9月4日付け区長宛要望書に対する杉並区回答書(2023.10.27)
  関連して、9月5日HPに掲げた9月4日付け区長宛要望書及び添付資料も、次に再掲します。
   樹木伐採に関する区長宛要望書
   添付資料1
   添付資料2
  遺憾ながら、今回の杉並区回答書は、9月4日付け要望書に対する回答になっていません。
  その理由は、9月5日HPをお読みいただくだけでもお分かりになると思います。
  いずれにしろ、事業者が、8月3日付け杉並区回答書で樹木診断をせざるを得なくなって10月18日に実施しましたので、その結果
 報告を待ちたい、と思います。
  もちろん、結果次第で、こちらの樹木診断実施を事業者に要求します。

◇2023年11月19日
 1.事業者が幹の樹木診断を実施
  11月15日に事業者が樹木診断を実施しました・
  10月20日ホームページに事業者が樹木診断を実施した旨記しましたが、それは根の診断でした。今回は幹の樹木診断を実施したのです。
  前回の樹木診断時に、樹木診断の結果を知らせていただくことを約束を取り付けるとともに、私たちも樹木診断を実施するつもりである
 ことを伝えておきましたので、当然今回の幹の樹木診断の結果も知らせてもらえるはずです。

◇2024年2月14日
 1.ワイヤーによる安全対策を実施
 日本ユナイテッドヘリテージの丸山さんから、1月25日に次のようなメールが届きました。
 ケヤキを複数のワイヤーで支える対策を施したい、旨の内容です。
 以下、丸山氏2024.1.25メールからの抜粋
  詳細はお会いした際にお話しさせていただきますが、樹木医診断の結果を踏まえ、
  地震や強風など予期せぬ自然災害が発生している昨今、現場が長期に渡り休止してる状況を、
  事業者側としては非常に不安に感じておりました。
  つきましては、今般、万が一に備えた安全対策として、一時的にケヤキの倒木防止のためのワイヤー対策を
 実施することと致しました。(ケヤキを複数本のワイヤーで支えるといった対策です。)
  2/6(火)から3日程度の作業となります。
  安全対策の一環ですので、ご理解の程よろしくお願いいたします。

 樹木診断の結果の説明がまだなので、この対策の持つ意味がもう一つよくわかりませんが、安全対策ということで了解しました。
 作業は、天候の関係で一日ずれて2月7日から3日間、実施されました。
 実施後の写真は、次のとおりです(拡大するとワーヤーが見えます)。
   ワイヤーによる安全対策く

◇2024年4月22日
 1.2月19日に清水総合開発が樹木診断結果を説明
  事業者の実施した樹木診断の結果は、実は2月29日に概要説明がありました。
  詳しい内容は当面内密にしてほしいということで、詳しくは記せませんが、概ね次のとおりです。
  ⓵根の診断では、根株腐朽を引き起こすベッコウタケと進行した腐朽が認められた。
  ⓶幹の診断では、腐朽空洞率が、測定高さ0.6mで52.0%,0.3mで65.0%といずれも50%を超えており、
   倒木の危険がある
 2.藤井英二郎先生と吉岡賢人氏が現地確認
  清水総合開発の樹木診断に対し、住民サイドの樹木診断を実施しようと藤井英二郎千葉大学名誉教授に
 依頼をしました。藤井先生には、昨年7月に実施された善福寺川の樹木調査の際にお会いし、ご神木けやき
 の件についてもお話ししていたからです
  藤井先生は、樹木診断よりも支持力計測をしたほうが良いと提案され、ピカス機器を用いた支持力計測を
 実施されている吉岡賢人氏を紹介してくださいました。支持力計測のできるピカス機器は、日本にまだ一、二
 台しか存在しない貴重なものです。
  藤井先生のご提案を受け、支持力計測実施に向けて、4月17日に現地確認を実施しました。
  支持力計測は、連休中の合間、5月2日頃実施予定です。

◇2024年5月1日
 1.4月30日に支持力計測実施
  4月30日午前11時頃~午後4時頃に吉岡賢人氏及び補助者の方によってピカス機器を用いた支持力計測が
 実施されました。清水総合開発も現地でゲートを開けて、付き合ってくれました。
  「ピカス機器」といっても、大きくも重くもなく、次の写真のようなスーツケースにおさまってしまう数個
 の機器から成っています。とはいえ、それらの機器を樹木に取り付ける作業は、知力も体力も要する高度な
 作業です。
   ピカス機器の入ったスーツケースく

  欧州では、樹木を⓵外観チェック、⓶内部診断に加え、⓷支持力計測で判断するそうです。
  吉岡さんは、フランスに行き、ピカス機器を用いた樹木診断・計測の技術を学ぶとともに、日本で初めて
 ピカス機器を輸入されたのです。
  吉岡さんの話をお聞きして、フランスで樹木診断・測定の技術を習得し、ピカス機器を輸入されたのは、
 志が高かったからだということがよくわかりました。
  そんな吉岡さんに樹木測定を依頼できたのは、技術面のみならず志の面でも大変幸運なことで、吉岡さんにも
 吉岡さんを紹介してくださった藤井先生にも感謝です。
  他方で、吉岡さんが樹木保全目的の測定を実施されたのが今回初めて(今までは倒伏した樹木の原因測定が主)
 ということもわかり、吉岡さんに、その志の高さに見合ったお仕事を提供できたことは大変光栄だと思いました。
  とてもいい関係のなかで樹木測定を実施できました。
  これも「ご神木」のご加護と実感できたことでした。