〇島崎さんを支える会(東京都)

   官製談合問題を追及したために自分の創った会社を追われた方が居ます。㈱地域開発研究所元社長の島崎武雄氏です

   島崎氏は、大学卒業後、運輸省港湾局に6年間勤めた後、民間の建設コンサルタント業に携わられ、1983年に㈱地域開発研究所を創業されました。そして、建設
  コンサルタント業に従事する中で痛感された官製談合(公共事業の随意契約)問題を民主党議員による国会質問を通じて追及されました。ところが、前原誠司民主
  党議員(当時)が資料を国交省に渡したために資料提供者であることがバレてしまい、その結果、国交省からの圧力があったのでしょう、社長を退き会長に就任せ
  ざるを得なくなりました。
   さらに、2010年7月、国交省関東地整が埋蔵文化財である東京湾第二海堡の一部を破壊したことが判明し、東京湾海堡ファンクラブ事務局長であった島崎氏が関
  東地整を訪ねて面談したところ、これも問題とされたらしく、地域開発研究所を退社せざるを得なくなりました。
   地域開発研究所を追放された島崎氏は、対応に苦慮し、地域開発研究所の顧問弁護士・会計士・友人に相談し、提訴の可能性も検討しましたが、いずれからも有効
  な対策を提示されませんでした。

   そんななか、2014年5月27日、島崎氏が海渡雄一弁護士と面談したことが混迷突破の契機となりました。3年時効に関する法律上の説明を聞き、混迷突破のために
  事件関係者に対する聞取り調査を行うことが必要であることを教示され、地域開発研究所の幹部や国交省の関係者への聞取り調査を実施した結果、2015年7月に加害
  行為及び加害者が明確になり、2015年10月15日、提訴に至りました。
   2017年9月15日の東京地裁判決では、民法724条・国会賠償法4条の時効(損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、
  時効によって消滅する)を理由として請求が棄却されました。
   しかし、あらゆる判例及び学説において「3年時効」は「加害者の氏名ないし役職を知った時から3年」とされています。島崎氏が加害者の氏名を知ったのは聞取り
  調査をつうじてですから、提訴までに3年間経過していないことは明らかです。

   現在、東京高裁において二審が進行中ですが、加害行為の実態とともに「3年時効」が成り立たないことを明らかにして勝訴を勝ち取りたいと思っています。
   週刊金曜日(2016.5.13,コンサルタントの元社長、「国交省が圧力」と提訴)
  ・2018.9.12 東京高裁11民事部第825号室で第5回控訴審が開かれます。関心をお持ちの方は是非ご参加ください。

◇2019年4月11日(木)
 1.国賠訴訟で逆転勝訴
  4月10日東京高裁判決で逆転勝訴しました。
  上記のように、一審は時効で逃げられたのですが、東京高裁野山宏裁判長は、島崎氏が加害者の氏名を知ったのはインタヴューを通じてであり、「加害者の氏名
 ないし役職を知った時から3年」は経っていない、との判断を下してくれました。権力におもねたり忖度したりする裁判官が増えているなか、よくぞきちんと法律
 を守ってくれたと、その勇気と正義感に感服し、法廷で思わず一礼しました。
  野山裁判長が主文を読み上げたとき、私も含め傍聴席の皆さん、とても感激されていました。あんな感激は滅多に味わえるものではありません。
  次に、判決文と海渡雄一弁護士の判決評(メールで送られてきたもの)とを掲げます。
   2019.4.10東京高裁判決
   海渡雄一弁護士の判決評

◇2019年4月12日(金)
 1.島崎裁判判決記事
  島崎裁判東京高裁判決の記事を掲載します。
   190411東京高裁判決朝日毎日記事
   190411東京高裁判決西日本Web
 2.国賠訴訟と時効問題
  本件国賠訴訟で鍵になった時効問題についての判例・学説を整理したファイルを次に掲載します。国賠訴訟に関心をお持ちの方、どうぞご活用ください。
  もちろん、築地問題について国賠訴訟を検討するうえでも参考になります。
   国賠訴訟と時効問題

◇2019年4月15日(月)
 1.最高裁への上告はあるか
  島崎裁判は、東京高裁判決で逆転勝訴しましたので、あとは国が最高裁に上告するかどうかの問題になりました。
  しかし、上掲の「国賠訴訟と時効問題」のレジュメを改めて見て、上告はしないのではないか、と思いました。
  というのは、レジュメ冒頭に記しているように、東京地裁平成17.9.15判決が、最高裁昭和48.11.16判決の後半部分を省略し、最高裁判決の趣旨をねじ曲げて
 出した判決だからです。レジュメ当該部分を再掲すれば、次のようです。
  ◇最高裁昭和48.11.16 判決文
   民法724条にいう「加害者を知りたる時」とは、同条で時効の起算点に関する督促を設けた趣旨に鑑みれば、加害者に対する損害賠償が事実上可能な状況のもと
  に、その可能な程度にこれを知った時を意味するものと解するのが相当であり、被害者が不法行為の当時、加害者の住所氏名を的確に知らず,しかも当時の状況に
  おいて、これに対する賠償請求権を行使することが事実上不可能な場合においては,その状況が止み、被害者が加害者の住所氏名を確認したとき,初めて「加害者
  を知りたる時」にあたるものというべきである。
  熊本:地裁判決平成17.9.15は、「……と解するのが相当である」までの部分を引用、後段を省略している。意図的な部分引用というほかない。

  国が上告して最高裁の判断を仰ぐことになれば、最高裁は当然、最高裁昭和48.11.16に基づいて判断を下すはずです。ならば、同判決の趣旨がねじ曲げられた
 地裁判決が不当であることは明白になるでしょうから、当然、高裁判決と同じ判断になるほかありません。
  というわけで、おそらく国は上告しないでしょうし、仮に上告したところで高裁判決が覆ることはあり得ません。
  島崎さんを初め、海渡・小川両弁護士及び本裁判を支えてきた島崎さんを支える会のみんなで喜びあえる日は、そう遠くないでしょう。

◇2019年4月30日(火)
 1.逆転勝訴高裁判決が確定
  4月15日に予想した通り、国が上告を断念し、逆転勝訴判決が確定しました。
  公益法人随意契約問題についての判断が下されなかったことは不満ですが、国が島崎氏に圧力を加えたことを認め、損害賠償すべきとした高裁判決の意義は大きい
 と思います。
  島崎さんは、「現在の公共事業は、“役人の,役人による,役人のための公共事業”と言う傾向が濃厚ですが,本来、公共事業は,“人民の、人民による、人民のた
 めの公共事業”でなければなりません」として、引き続き、次の課題に取り組まれていかれるとの抱負を語られています。
 (1)公益法人随意契約問題への取組みの継続
 (2)公共事業改革への取り組みの継続。地域主義に基づいた公共事業改革,即ち,“住民の、住民による、住民のための公共事業”の推進
 (3)地域開発学の構築
  (3)の「地域開発学」とは地域で働き、生活する“住民の、住民による、住民のための公共事業”の基礎となる理論体系,土木工学に代わる学問です。
  島崎さんの「地域開発学」構築の取組みに期待するとともに、応援していきたいものです。

◇2019年5月30日
 1.日経コンストラクション記事
  日経コンストラクション2019年5月13日号に島崎裁判の逆転勝訴の記事が掲載されましたので、次に掲げます。
   国交省が批判者に辞任圧力、高裁が認定(日経コンストラクション2019.5.13)
  建設業界誌に分かり易い紹介記事が載ったのは、大変有意義で効果も大きいと思います。
  ちなみに、記事では高裁判決が確定したことには触れられていませんが、前述のとおり、国が上告を断念したため、高裁判決が確定済みです。
 2.6月18日に勝訴集会と祝賀パーティーを開催
  6月18日午後5時から参議院議員会館で勝訴集会、午後6時半から勝訴祝賀パーティーを開くことになりました。
  4月15日に「島崎さんを初め、海渡・小川両弁護士及び本裁判を支えてきた島崎さんを支える会のみんなで喜びあえる日は、そう遠くないでしょう」と書きましたが、
 その後、二カ月余りで実現することを大変嬉しく思います。

◇2019年6月3日
  1.6月18日判決報告集会と祝賀パーティーのご案内
  6月18日の判決報告集会及び祝賀パーティーのご案内を次に掲載します。みんなで喜びあいたいと思います。
   6月18日判決報告集会
   祝賀パーティー

◇2019年6月19日(水)
  1.6月18日判決報告集会と祝賀パーティー
  6月18日判決報告集会は、参議院議員会館第102号室で開かれました。
  集会のプログラムは次のとおりでした。
   判決報告集会プログラム
  島崎氏、海渡弁護士の報告の後、柴田武男氏(支える会),栂坂英樹氏(立憲民主党政策調査会部長)及び私が裁判の意義等について見解を述べました。
  私の報告レジュメを次に掲げます。
   熊本報告レジュメ
  そして、最後に、次の決議文及び公開質問状を採択しました。
   決議文及び公開質問状
  報告集会終了後、場所を近くのレストランBitteに移し、結審記念パーティーを開催しました。
  ドイツ料理を堪能しつつ、参加者の皆さんからスピーチをいただきました。また、島崎七枝さんの踊りも披露されました。皆さん、国相手の世直しの取組みで成果を
 得たとの達成感・満足感に満ちた幸せな表情をされ、笑顔と笑いの絶えない楽しいひと時を共有することができました。
  島崎さんの信念、一生を掛けた大勝負で成果を上げることができ、本当に良かったと思います。

  なお、島崎さん及び島崎さんを支える会の取組みは、これで終わりではありません。
  国交省に「決議文及び公開質問状」を提出に行くとともに、国会の場で、公開質問状への回答をするよう追及してもらおうと思っています。
  幸い、立憲民主党の栂坂さんがサポートしてくださっていますので、質問してくださる議員も得られることと思います。
  引き続きの取組みをどうぞお楽しみに。

◇2019年10月17日(木)
 1.質問主意書及び答弁書
  東京高裁判決を踏まえ、政府に質問主意書を提出しましたが、その答弁書が届きました。
  次に、質問主意書と答弁書を掲載します。
   質問主意書
   答弁書
  質問主意書に対する答弁書は、充分に練って作成されるため、あたりさわりのないものが多いですが、この答弁書の「三について」には、平成31年4月25日文書に
 より周知を行なったという事実が記載されており、中身のあるものになっているように感じました。
  この文書が出されたことは、大きな成果だと思います。
  近日中に初鹿昭博議員が質問される予定ですが、初鹿議員をつうじて当該文書を入手したいものです。
  一、二については「調査中」という回答だけですが、今後、調査結果も初鹿議員を通じて入手すると国交省に知らせておくと、いい加減な調査の予防になるでしょう。
  いずれの点も、初鹿議員の質問でさらに深められると思います。

◇2019年10月27日(日)
 1.国交省布達を入手
  10月17に記した平成31年4月25日文書(国交省布達)を初鹿議員を通じて入手することができました。
  次に掲げます。
   国交省布達(平成31年4月25日)
  国交省布達の内容は、東京高裁2019年4月10日判決の内容を真摯に受けとめたもので、高く評価できると思います。
 このような布達が判決から半月後に出されたことは、国交省がいかに判決を深刻に受け止め、同様な事態の再発を防ごうと努めたかを示していると思います。
  安倍政権下において官庁に嘘、捏造等が横行している現状にあって、このような真っ当な布達が出されたことは、意外でもありますが、それだけに余計に大いに喜
 びたいと思います。
  あとは、本事件で違法行為を犯した職員への処分を期待したいものです。初鹿議員の質問に期待しています。

◇2019年11月20日
 1.島崎さんを支える会ニュース最終号
  「島崎さんを支える会」ニュースの第78号(最終号)が11月19日付けで発行されるとともに、「島崎さんを支える会」も解散する運びとなりました。
  次に第78号を掲載します。
   島崎さんを支える会ニュース第78号
  島崎さん、及び島崎さんの勇気ある行動を支えてきた志ある方々が、みなさん笑顔で勝訴判決を喜べたこと、また、満足感を持って会を終えられることを、大変
 嬉しく思います。

◇2019年11月25日
 1.島崎さんの取組みの出版見込み
  島崎さんの取組みを出版する目処が立ちました。
  私から島崎さんに勧めたところ、初めはためらわれていましたが、支える会の皆さんから「出版の意義がある」旨の応援の意見が寄せられたこともあって、決心
 されました。島崎さんの決心を受けて、私から40年余り懇意にしている緑風出版に依頼し、内諾を得ることができました。
  来週中を目処に目次を島崎さんに作っていただき、目次ができたら、出版についての集まりを持つ予定です。
  原稿は、来年1月一杯をめどに出版社に送る予定です。
  楽しみにしていてください。

◇2020年7月19日
 1.島崎さんの本の原稿が揃いました
  昨年11月25日に記した島崎さんの本の原稿がようやく揃いました。緑風出版に送付したところ、OKの返事をいただきました。
  近日中に、出版部数、定価等の打合せを行なう予定です。

◇2021年2月8日
 1.島崎さんの本が出版されました
  島崎武雄さんの本『公共事業締出しに勝訴』(緑風出版)が出版されました。
  公共事業の官製談合を告発し、また東京湾第二海堡保存を訴えたために国交省から圧力をかけられ、自分が創業した会社を辞めさせられた島崎さんの闘いの記録
 です。国を相手にした国賠訴訟で勝利し、かつ国交省布達「適正な業務執行について」を引き出せたことは、今後、国を相手に闘おうとする人たちを励ますとともに
 大きな示唆を与えてくれると思います。
  本の表紙(表裏)を次に掲げます。
   島崎武雄『公共事業締出しに勝訴』表紙