〇新型コロナ問題

 ◇2020年4月16日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.3909
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3909に、拙稿「権利に基づく闘い その5」が掲載されましたので、次に紹介します。
  現在、喫緊の問題になっている「休業要請と補償」の問題が「権利に基づく闘い」に大きく関連しますので、それについて書いてみました。
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3909
 2.感染症対策の大原則は「検査と隔離」
  感染症対策の大原則は「検査と隔離」です。にも関わらず、国は、新型コロナに関し、専門家会議が提案した「クラスター追跡」という方針を採ってきま
 した。
  この間違った方針が、感染を拡大し、医療崩壊の危機を招いています。
  新型コロナは、軽症者・無症状者からも感染するのですから、クラスター追跡では野放しになってしまう軽症者・無症状者から感染が拡大するのは当たり前
 です。
  別の表現をすれば、感染がA→B→C→D→……と広がっていく場合、A,B,C,Dがいずれも単独でも広がります。しかるに、クラスター追跡では、B,C,D等のい
 ずれかが集団でないと追跡の対象になりませんから、追跡から漏れる感染者が拡がっていくのは当たり前です。
  専門家会議は、検査を拡大すると医療崩壊するという理由から検査を抑制してきましたが、その問題は検査後に仕分け(トリアージ)をすれば解決でき
 ることです。「検査→仕分け隔離」をすればいいだけのことです。
  現状は、むしろ「クラスター追跡」・「検査抑制」が医療崩壊を招きつつあります。「クラスター追跡」を方針にした専門家会議、特にその主な推進者で
 ある尾身茂氏・押谷仁氏の責任は重大であり、間違った方針を採ったこと、少なくとも「検査拡大」への方針転換が遅れたことの反省が必要です。
  ところが、「クラスター追跡」の破綻が明らかになった現在、専門家会議は、何の反省も表明することなく、いきなり役者を西浦博氏に変えて「移動80%
 削減」を打ち出し、それを受けて「休業要請」がなされています(国の「休業要請・無補償」の問題点については、上掲の「たんぽぽ舎MLニュースNo.3909」
 をご覧ください)。
  「移動削減」が感染症対策になることは、言うまでもありません。
  しかし、「検査→仕分け隔離」を進めなければ、無差別の移動制限を長期にわたって強いることになり、国民の生活や経済に及ぼす影響が甚大になります。
  検査を徹底すれば、無差別に自粛や休業を強いる必要はありません。実際、韓国は、ほとんど自粛・休業を強いることなく、検査徹底によって感染を減らす
 ことに成功しました。
  「移動削減」を長期にわたって実施すれば、そう遠くないうちに国民の悲鳴と怨嗟の声が大きくなり、その限界が明らかになるでしょう。
  国が自らやるべき政策を講じることなく、国民に我慢と犠牲を強いること自体が間違いなのです。
  戦時中、軍の高官たちは、国民・兵士に「生きて虜囚の辱めを受けず」と命令して自決を強要しておきながら、自らは贅沢三昧の生活を送り、戦後まで生き
 延びました(牟田口廉也、辻政信が有名です)が、それと全く同じ構図です。
  専門家会議の尾身茂氏が、感染拡大が明らかになった頃、今後の方針を聞かれて、「我々の覚悟」と書いたパネルを掲げたときには、戦時中の竹槍精神論を
 思い出しました。
  戦争で犯した過ちをコロナ問題で繰り返さないようにしましょう。

 ◇2020年4月21日
  1.渋谷健司氏の見解
  WHO(世界保健機関)上級顧問の渋谷健司氏の見解が大変優れているので、次に掲載します。
  渋谷健司氏の見解
◇2020年4月26日
 1.補償金と協力金はどう違うのか
  新型コロナ問題で、国は一貫して休業補償を支払うことを拒んでいます。
  たんぽぽ舎MLNo.3909に記したように、国は補償を回避する目的で、狡猾にも二つの仕掛けを設けました。一つは、休業の「強制」でなく「要請」にするこ
 と、もう一つは、「休業要請」を自治体にさせることです。
  休業要請をすることになった自治体は、要請を受け容れてもらうために協力金を設けています。しかし、なぜ「補償金」でなく「協力金」なのでしょうか。
  「協力金」とは、発電所の立地や河川工事等で設けられてきた制度ですが、いまでは国交省は「不明朗な支出になるため許されない。補償金として支払うべき」
 としています。「補償金」の場合には、憲法29条(私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる)に基づいて支払わなければならず、
 算定式まで決められているからです。
  にもかかわらず、「協力金」とされているのは、「補償金」は憲法29条に基づいて公権力が支払うことを義務付けられるからです。国は、あくまで「義務」とし
 ての「補償金」でなく、「恩恵」としての「協力金」として自治体に支払わせたいのです。また、「補償金」とすれば、国としての補償の責任も問われることになる
 からです。
  これに対して、全国知事会議は、次の二点を国に要求しています(東京新聞2020年4月17日夕刊)。
  ①休業要請に応じた事業者に対して、国が損失補償すること
  ②「国の損失補償」とは別に自治体が、約一兆円の臨時交付金を財源として協力金を交付できるようにすること
  全国知事会議の要求に対し、国は、ようやく②は認めたものの、①は拒否を貫いています。
  しかし、いまの一兆円程度の「協力金」制度では、とても、休業要請に応じる業者の損失を補うことはできません。また、自治体の財政力の格差による不公平が解
 消できません。
  休業要請が長引けば、国が補償を回避していることの問題が、ますます大きくなっていくと思われます。
  以下に関連記事を掲げておきます。
  事業者に休業補償要請(東京新聞2020.4.17夕刊)
  各県、協力金表明相次ぐ 一兆円では足りない(東京新聞2020.4.21)
  休業補償 北村担当相「認めない」 協力金は容認(毎日新聞2020.4.21)

◇2020年4月27日
 1.専門家会議は無能、無責任かつ悪質
  新型コロナウィルス感染症対策専門家会議が間違った方針を立ててきたことは4月16日に書きました(4月21日に紹介した渋谷健司WHO上級顧問も同様の見解で
 した)。
  専門家会議が立てた「クラスター追跡」・「PCR検査抑制」では、個別の感染者が野放しになりますから、市中感染が拡大してきたのは当たり前です。それに気づ
 かなかった専門家会議は無能と言われてもやむを得ません。その責任は重大です。
  しかし、市中感染が拡大し、「クラスター追跡」・「PCR検査抑制」の方針の誤りが明確になった今も、専門家会議は、誤りを明確に認めていません。それどころ
 か、「以前からPCR検査を増やすべきと言ってきた」とのゴマカシ、責任逃れの発言を行なっています。クラスター追跡の方針の中心メンバー押谷仁氏は「PCR検
 査抑制が、日本が踏みとどまっている大きな理由」と言っていたにもかかわらず、何の反省も陳謝もなく平気で前言を翻すとは人格さえ疑われるほど悪質です。
  さらに、最近、専門家会議は「4日間様子を見てくれ」とは言っていない、と言い始めました(4月22日専門家会議の記者会見における釜萢敏常任委員の発言)。
  4日待機ルールは、専門家委員会が打ち出した当初からの方針であり、国民すべてが知っているといっても過言ではないものです。帰国者接触者相談センターの市民
 相談対応フローにも「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上」という条件が明確に記されています。
  にもかかわらず、自宅待機中の感染者が亡くなる事態が相次ぐと、「4日間様子を見てくれ」とは言っていないと言い始めるとは、卑劣さにも程があります。
  無能なばかりか、悪質・卑劣な専門家会議及び安倍政権に任せていると、国民は殺されます。専門家会議、特に尾身茂、押谷仁、釜萢敏氏らに騙されないようにし
 ましょう。政府・厚労省は、もちろん駄目です。他方、信頼できる専門家は、岡田晴恵、上昌広、倉持仁氏らです。
  コロナ感染対策の鍵は、次の①~③です。①~③を強調するか否かで信頼できるか否かを識別できます。
  ①PCR検査の拡充
  ②仕分け隔離(無症状者・軽症者は自宅でなくホテルに)
  ③アビガンの早期投与
  専門家会議や安倍政権の犯罪をしっかり脳裏に刻みつつ、①~③の対策の実施を強く要請していきましょう。
  <関連記事>
  釜萢敏常任委員の発言
  帰国者接触者相談センターの市民相談対応フロー

◇2020年5月3日
 1.指示に応じないパチンコ店が国を追い詰める
  パチンコ店への休業要請が物議を醸しています。
  新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、「特措法」)に基づく休業要請には、二種類あります。24条9項に基づく「弱い要請」と45条2項に基づく「強い要請」
 です。「要請」に応えない場合、前者は何もできませんが、後者は、「指示」をしたり、氏名を「公表」したりすることができます。
  いくつかの都府県では、パチンコ店に対し「強い要請」をしました。東京都では、「要請」だけで全ての業者が応じました。大阪府では、「指示」をちらつかせること
 で全ての業者が応じました。しかし、兵庫県では、休業要請に応じない3店に対し、5月1日、全国で初めて45条3項に基づく「指示」を出しました。
  特措法では、「指示」は出せても、「指示」に従わない場合の罰則はありません。そのため、「指示」を受けた業者は今でも営業を続けています。
  このような状況になった最大の原因は、国が休業補償を避けたからです。罰則を設けて強い強制力を持たせ、その代わりに補償するような法律を作っていれば、兵庫
 県のような状況は生まれなかったのです。
  実は、憲法29条に基づけば、強制的に私権を制限するには「正当な補償」が必要です。ですから、「指示」を出すにも補償が必要なはずです(弁護士である大阪府の
 吉村知事も、そう主張しています)。しかし、国は憲法違反の疑いの強い「補償なしの特措法」を作ったのです。
  「補償なしの特措法」の限界が明らかになってきたため、西村経済再生担当相は、4月27日記者会見で、罰則を伴うより強制力のある仕組み、法整備を検討する考え
 を明らかにしました。
  しかし、私は、そのような法整備は難しいと思います。なぜなら罰則を設ければ必ず補償が必要になりますから、業者は、「要請」や「指示」に応じれば補償を受け
 られず、応じなければ補償を受けられることになります。
  そのため、「要請」や「指示」に従って休業する業者はいなくなってしまいます。また、これまで「補償なしの特措法」の「要請」に応じてきた業者からも、強い反発
 と非難を浴びることになってしまいます。パチンコ業に限らず、あらゆる業種にわたってそうなります。
  つまり、罰則を伴う法改正をすれば、休業補償を避けて「要請」や「指示」で実質的に強制しようとしてきた「補償なしの特措法」の制度が破綻するばかりか、それが
 、憲法違反の法律であることが明らかになってしまうのです。
  国は、お上に従順な国民性と同調圧力を利用して「補償なしの特措法」を作ったことの報いをこれから受けることになるでしょう。
  休業指示に応じなかったパチンコ店が国を追い詰めることになったのです。
  <関連記事>
  兵庫県、パチンコ店に休業指示
  西村担当相、特措法改正の考え明かす

◇2020年5月4日
 1.パチンコ店は「明日のわが身」
  休業要請が出されていても、営業を続けている業種はパチンコ店に限りません。
  また、パチンコ店から集団感染が発生した事例は今まで一つもありません。にもかかわらず、なぜパチンコ店だけが特措法に基づく「氏名公表」や「指示」の対象とさ
 れたのでしょうか。
  それは、社会的に評判の良くないパチンコ店が、まず狙い撃ちされたからです。
  ここでナチスに対する抵抗運動で有名なマルティン・ニーメラー牧師の言葉を思い出す人は少なくないでしょう。

   ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
   私は共産主義者ではなかったから
   社会民主主義者が牢獄に⼊れられたとき、私は声をあげなかった
   私は社会民主主義者ではなかったから
   彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
   私は労働組合員ではなかったから
   そして、彼らが私を攻撃したとき
   私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

  「補償なしの特措法」は憲法違反の疑いが濃厚です。しかし、あらゆる業種において特措法に基づく「要請」・「氏名公表」・「指示」の範囲内で治まれば、特措法の
 違憲性は問題にならなくてすみます。
  そのため、権力は、まずは社会的に評判の良くないパチンコ店をターゲットにして、「指示」の範囲内で従わせたかったものと思われます。
  もしも、兵庫県の3店が「指示」にもかかわらず、営業を続けなかったら、権力の目論見は功を奏していたことでしょう。そして、次々にターゲットを広げて、あらゆ
 る業種で、「補償なしの特措法」の枠内で休業強制を実現したことでしょう。
  休業要請のなか、営業を続けている店に対して、嫌がらせや脅しが頻発しています。「自分は自粛しているのに、営業を続けているのはけしからん」という気持ちに起
 因するものでしょう。
  しかし、元凶は、「補償なしの特措法」を押し付けている権力なのです。そして、営業を続けているパチンコ店は、その不条理に対して闘ってくれているのです。
  大きな眼で、元凶に対して闘うことにしたいものです。

◇2020年5月11日
 1.21世紀型の感染症対策モデル
 (1)専門家会議の間違った戦略
  専門家会議の立てた戦略は、当初、押谷仁氏の「クラスター追跡」でした。集団感染だけを追跡する「クラスター追跡」では孤発感染者が野放しになり、市中感染につ
 ながりました。(この失敗を隠蔽すべく、国は「中国から持ち込まれた第一フェーズ(局面)はクラスターで封じ込めたが、欧州から持ち込まれた第二フェーズには別の戦
 略が必要だった」などと言っていますが、私は、第一フェーズから市中感染の拡大がずっと続いていたと思っています。当時、孤発例からの感染が自然に消滅することな
 どあり得ないからです)。
  専門家会議は、「クラスター追跡」を戦略に立てるとともに、PCR検査の推進は医療崩壊につながるとして、PCR検査を抑制しました。そのため、野放しにされた
 感染者がほとんどチェックされず、市中感染を激増させました。
  市中感染が拡がって「クラスター追跡」の失敗が明らかになるや、専門家会議は、突然、西浦博氏の「行動削減」「接触機会削減」の戦略を打ち出しました。そのた
 め、緊急事態宣言が発出され、全国で外出・営業の「自粛要請」「休業要請」が出されました。
 (2)憲法違反の「無補償の休業要請」
  しかし、「自粛要請」「休業要請」により、経済は冷え込みます。
  ところが、国は、一貫して「休業要請に伴う補償」を拒み続けています。そのため、財政力のある東京等の自治体は、「協力金」等の名目で無補償を補っていますが、
 財政力の乏しい多くの自治体では補うことができないでいます。
  そのため、飲食業・観光業・ホテル等々の業種で多くの業者が廃業の危機に追い込まれています。コロナで殺されなくても経済的に殺される危機に瀕しています。
 (3)小田垣氏の新モデル
  そのような中、九州大学の小田垣孝名誉教授(社会物理学)が、経済活動と感染拡大防止の両立の鍵はPCR検査にあることを定量的に示した計算結果を発表しました。
  従来使われていたSIRモデルは、まだ感染していない人(S)、感染者(I)、治癒あるいは死亡した人(R)の数が時間とともにどう推移するかを示す数式で、1927年、
 スペインかぜの流行を解析するために英国で発表されたものです。
  SIRモデルは、「検査と隔離」を全く考慮に入れていません。スペインかぜ当時は「検査と隔離」の手法がなかったからです。
  それに対し、小田垣さんは、無症状や軽症のためPCR検査を受けずに通常の生活を続ける「市中感染者」と、PCR検査で陽性と判定されて自宅やホテルで隔離生活を送る
 「隔離感染者」の二つに感染者を分け、前者は周囲に感染させるが、後者は感染させないと仮定。さらに、陽性と判定されたらすぐに隔離されると仮定し、検査が増える
 ほど隔離感染者が増えて感染が抑えられる効果を考慮してモデルを改良しました。
  新しいモデルに基づき 「接触機会削減」と「検査・隔離の拡充」という二つの対策によって新規感染者数が10分の1に減るのにかかる日数を計算したところ、検査数
 を現状に据え置いたまま接触機会を8割削減すると23日、10割削減(ロックアウトに相当)でも18日かかる一方、検査数が倍増するなら接触機会が5割減でも14日で
 すみ、検査数が4倍増なら接触機会を全く削減しなくても8日で達成するなど、接触機会削減より検査・隔離の拡充の方が対策として有効であることが示されました。
  したがって、検査を進めれば進めるほど感染者を隔離するとともに非感染者を社会復帰させられますから、外出自粛や休業の必要性がなくなっていくということです。
 考えてみれば当たり前のことですが、それを定量的に示したことに大きな意義があります。
  また、新モデルにより、孤発例を無視する「クラスター追跡」も、感染者か否かに関わりなく一律に「行動削減」を強いる戦略も間違いであることが証明されました。
  新型コロナ問題解説で健闘されている岡田晴恵氏は、この新モデルを「21世紀型の感染病対策モデル」と高く評価しています。
  新モデルに基づき、「PCR検査と隔離」を進めることが、感染を抑え、かつ経済破綻も防止できる最良の戦略です。
  <関連記事>
  PCR検査を倍にすれば、接触「5割減」でも収束可能?(朝日新聞デジタル)
  小田垣孝論文

◇2020年5月14日
 1.緊急事態宣言の解除基準が東京を苦しめる
  5月14日、国は、39県について緊急事態宣言を解除するとともに、解除基準として「感染者数が10万人当たり0.5人/週」を設定しました。この基準を東京都に当て
 はめると70人/週(10人/日)になります。
  都の感染者数は5月13日には10人でしたが、14日には30人に増えました。10人/日をはるかに超える数です。発表される感染者数は二週間程度前の感染に起因します
 から、5月13,14日の感染者数はゴールデンウィークの真っ最中の感染に因るものです。それが解除基準をはるかに超えるということは、東京都が解除基準を満たすに
 は、なお相当の期間を要することを意味します。
  財政力の豊かな東京都は、これまで二回にわたり、休業要請に伴う協力金を支払ってきましたが、6月に入っても3回めの休業要請が必要となると財政的に厳しくなる
 と思われます。また、それ以上に、休業を強い続けられる事業者の忍耐の限度を超え、不満・憤りが噴出してくると思われます。
  他方、独自の休業要請解除基準を定めた大阪府は、5月14日に休業要請を解除します。コロナ感染に関するデータをしっかりとってきたため、独自の基準を設定でき、
 休業要請解除が可能になったのです。独自基準もしっかりしたものです。「感染者数が10万人当たり0.5人/週」では、検査数を絞ることでクリアがいくらでも容易にな
 りますが、大阪の独自基準では、陽性率(陽性者数/検査人数)7%としていますので、その恐れはありません。「感染者数」でなく「経路不明な感染者数」を採用した
 ことも賢明です。大阪府の保健所数を減らしてきた維新の政策は弁解の余地なしですが、新型コロナ対策に関する限り、吉村知事は合格点を満たしていると思います(た
 だし、最高点は、国の検査抑制方針を無視して検査拡充を進めた仁坂和歌山県知事だと思います)。
  各国首脳のコロナ対応の比較で安倍首相が最低評価を受けたのと同様、休業要請解除をめぐる自治体の対応の違いは、自治体あるいは自治体の長が、どれだけ新型コロ
 ナに真剣に向き合ってきたかを残酷なまでに示します。
  小池都知事は、パフォ-マンスばかり、それも「ロックダウン」、「ステイホーム」、「スーパーは3日に一度」等々、行政の責任をおろそかにして都民への注文ばか
 り行なってきたことの報いを、これから受けることになるでしょう。
  <関連記事>
  大阪府の独自基準

◇2020年5月15日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.3930
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3909に、拙稿「権利に基づく闘い その6」が掲載されましたので、次に紹介します。
  見出しは次の通りです。
    小田垣モデルで「検査と隔離」を進めることが感染を抑え
    かつ経済破綻も防止できる最良の戦略
    「補償なしの要請」と「行動変容」は経済を破壊する
    罰則を伴う法整備は不可能
    行政の責任は「検査と隔離」
    「検査と隔離」こそ感染防止・経済回復の鍵
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3930
 2.専門家会議提言について
  5月14日、専門家会議は、39県に関する緊急事態宣言を解除するにあたり、「新型コロナ対策状況分析・提言」(以下、提言)と題する文書を発表しました。
  提言、提言概要、提言17頁掲載の「地域別の新型コロナ感染症対策(イメージ図)」と題したグラフを次に掲げます。
  提言
  提言概要
  地域別の新型コロナ感染症対策(イメージ図)
  今後、より詳しい批判を追加するかもしれませんが、とりあえず、主な問題点を指摘しておきます。
  ①クラスター対策、西浦モデルの反省なし
   第一に、これまでの専門家会議の採った方針(クラスター対策、西浦モデル)の反省が全く欠如しています。
   専門家会議の採った当初の方針は、押谷仁氏が中心となったクラスター対策でした。「クラスター対策こそ重要で、PCR検査をすると医療崩壊につなる」との理由
  でPCR検査を抑制してきました。その結果、野放しになった軽症者・無症状者から市中感染が拡がりました。市中感染が拡がり、PCR検査推進の必要性が指摘されると、
  専門家会議は、PCR検査を抑制してきたことへの謝罪もないまま、以前からPCR検査を推進すべきと言ってきたなどと誤魔化すばかりでした。
   クラスター対策が市中感染をもたらしたことが明らかになるや、専門家会議は、押谷氏を引っ込め、代わりに西浦氏が表に出てきて、西浦モデルに基づく「行動変容
  (8割接触削減)を打ち出しました。西浦モデルに基づき緊急事態宣言が出され、自治体から休業要請・外出自粛要請が出されました。しかし、西浦モデルは、検査数を
  増やせば行動変容の必要性は減少し、さらには不要になるとの小田垣モデルによってすでに論破されています。西浦モデルは経済に大打撃を与えますが、小田垣モデル
  は経済を破壊することなく、コロナ感染対策が可能なことを示しているのです。
   しかし、提言は、小田垣モデルを無視し、相変わらず、クラスター対策と行動変容の方針しか採っていません。これまでの方針の過ちを謝罪するどころか、それに居
  直っています。
  ②外国に比べて営業再開基準が厳し過ぎ
   提言は、緊急事態措置解除の基準を「感染者数が10万人あたり0.5人/週程度」としていますが、この基準は、外国と比べて厳しすぎます。
   提言8頁脚注に記されているように、ドイツでは「10万人あたり新規感染者数が50人/週以下」 、アメリカNY州では「新規人院患者数」が「10万人当たり2人未
  満(3日間平均)」を基準としています。提言の基準の、ドイツは約100倍もの感染者数、アメリカNY州は入院患者数の数で約10倍もの数です。
   外国と比べてこれほど厳しい基準が、十分な補償の下で行なわれるならともかく、「補償なしの休業要請」の下で行なわれるのですから、事業者からの不満の声が出
  るのは当然です。
   東京では、5月15日、高島屋が「休業要請」を受け続けているに関もわらず、営業を再開しました。今後、同様の動きが広まっていくと思われます。パチンコ店をス
  ケープゴートにすることも、罰則を伴う法整備をすることも難しくなっていくでしょう。

◇2020年5月21日
 1.実効再生産数に基づいても日本の解除基準は厳し過ぎる
  5月15日HPでは、感染者数の比較から日本の緊急事態宣言・休業要請の解除基準が厳し過ぎる(ドイツの100倍)ことを指摘しましたが、そのことはヨーロッパで主な
 解除基準とされている実効再生産数Rに基づいても指摘できます。 
  欧州では、「都市封鎖」・「行動制限」解除の基準として「R<1」が用いられています。実効再生産数とは、一人の感染者が次にどれだけの人数に感染させているか
 を示す人数です。
  R=2の場合、1人の感染者から2人が感染し、その2人から4人が感染する……というふうに感染者が拡大していきます。他方、R=1/2の場合には、感染者数は、
 1/2→1/4→1/8…というふうに減少していきます。1/2から推測できるように、R<1であれば、時間の経過とともに感染者数は減少していき、減少の速度はRが小さけ
 れば小さいほど速くなります。
  したがって、「実効再生産数<1」は緊急事態解除の基準として合理的な基準です。
  では、日本の実効再生産数は、どの程度でしょうか。
  2020年5月1日専門家会議の記者会見資料によれば、全国のRは3月25日2.0,4月10日0.7、東京のRは3月14日2.6,4月10日0.5で、いずれも3月27日をピークとして
 減少し続けています。
  実効再生産数の推移
  専門家会議の2020年5月14日提言には4月29日までの実効再生産数の推移が示されていますが、全国、北海道、関東一都四県のいずれも4月下旬には1を下回ってい
 ます。
  4月下旬までの実効再生産数の推移
  実効再生産数のデータに基づけば、8都道府県に絞ったとはいえ、5月4日の緊急事態宣言の5月31日までの延長は不要だった、あるいは厳し過ぎたと思います。
 ましてや、5月21日に首都圏及び北海道の緊急事態宣言解除をしなかったことは厳し過ぎると言わざるを得ません。
  緊急事態宣言及び休業要請は、経済にダメージを与えます。とりわけ、飲食・観光等の分野の中小規模事業者を苦しめます。ダメージを受ける経済は、経団連に象徴
 されるような大企業の全国的経済よりも、民衆の生活・文化に根差した地域経済です。
  地域経済、民衆の生活・文化に大きなダメージを与える休業要請・外出自粛要請をするには、国・自治体は、実効再生産数のような合理的根拠を示さなければならない
 はずです。それを示さずに「ステイホーム」や「新たな生活様式」のような説教ばかりする行政は糺していかなければなりません。

◇2020年5月22日
 1.西浦モデルは再生産数で理解できる
  5月21日に実効再生産数について記しましたので、それを踏まえて西浦モデルについて説明します。
  西浦モデルの解説の前段として基本再生産数R0と実効再生産数Rとを区別しておきます。
  基本再生産数R0とは、「感染者が一人もおらず、感染対策が何も講じられていない集団で感染者が生まれたときの再生産数」です。他方、実効再生産数Rとは、「実際
 に現実の社会で起きている再生産数」です。Rは、免疫を持つ者が増えたり、都市封鎖や行動変容などの感染対策が講じられたりするとR0よりも小さくなっていきます。
  西浦氏は、基本再生産数として、ドイツを参考に2.5を採用しています。5月21日HPに紹介した専門家会議資料によれば、緊急事態宣言以前(3月)の再生産数は全
 国2.0,東京2.6ですから、緊急事態宣言以前の基本再生産数として2.5を採用するのは、それほど不適切ではないでしょう。
  そのうえで、西浦氏は、行動変容により接触削減を図ることで実効再生産数を減らしていくことを提言し、接触削減率と新規感染者数の関係を図1のように示してい
 ます。
  図1.西浦モデルのグラフ
  図1によれば、接触減6割で新規感染者数は一定になります。これを数式で説明すると、
  R=R0×(1-0.6)=2.5×0.4=1の式で表わせます。
  接触減8割の場合には、R=R0×(1-0.8)=2.5×0.2=0.5ですから、二次感染者数,三次感染者数,四次感染者数は1/2,1/4,1/8と次第に減っていきます。1/2に減る
 までの期間は、n次感染者の発覚から(n+1)次感染者の発覚までに要する期間の平均期間です。
  西浦氏は図1に基づいて接触減8割を主張し、「8割おじさん」と呼ばれるようになったのですが、その根拠は、上記のように、再生産数を知るだけで容易に理解で
 きるようなものなのです。
 2.東洋経済が「実効再生産数」を公開
  5月22日に東洋経済「実効再生産数」を公表しました。次のサイトです。
  国内感染の状況
  「実効再生産数」公表についての東洋経済オンラインの記事を次に掲げます。
  東洋経済が新型コロナ「実効再生産数」を公開
  遅まきながら、専門家会議によってでなく、西浦氏監修ということで東洋経済が公表したのです。
  東洋経済オンライン記事に記された西浦モデルの算定式は、Rの算定に週単位の新規感染者数を用いているため、より複雑になっていますが、基本的には上記の算定
 方法と同じです。

◇2020年5月27日
 1.緊急事態宣言解除について
  5月25日、首都圏と北海道の緊急事態宣言が解除されました。
  解除基準「10万人当たり新規感染者0.5人」を神奈川県と北海道は満たしていなかったのですから、厳密に基準を当てはめれば解除できなかったはずですが、経済的
 ダメージが深刻になってきたことから一気に解除したものと思われます。基準のいい加減さが、首都圏・北海道を救った形になりました。
  解除によって第二波の到来を危ぶむ声もありますが、 5月15日HPに記したように、新規感染者数の日本の解除基準が厳し過ぎる(ドイツの100倍)ことに鑑みれば、
 妥当だったといえるでしょう。
 2.集団免疫60%論について
  第二波の到来に関し、「感染者が国民の60%程度に達するまでは、何度も波に襲われる」旨の見解をしばしば見かけます。
  これは、「特定の集団の一定割合が免疫を得るまで感染流行が続く」という「集団免疫」に基づく見解で、新型コロナに関しては一定割合が60%程度とされています(
 「集団免疫60%論」と呼ぶことにします)。
  では、感染者が60%程度に達するまでは、何度も波に襲われるのでしょうか。もしもそうだとすれば、60%程度になるまでは感染の恐れが続くことになりますし、また
 、どんな対策を講じても長期的には感染者総数を減らせないことになります。
  以下、集団免疫60%論について検討していきます(5月21,22日HPに説明した基本再生産数・実効再生産数を理解しておけば容易に理解できます)。
  実効再生産数R=2の場合、1人の感染源から2人が感染し、その2人から4人が感染し……というふうに感染者が倍々で増えていきます。
  しかし、正確に言えば感染者が倍々で増えていくのは、次の二つの条件が満たされている場合です。
  ①集団に免疫保持者が一人もいない場合
  ②検査によって隔離される感染者が一人もいない場合
  ①について説明しますと、集団の50%が免疫保持者の場合、1人の感染源から2人が感染しても、確率的には2人のうち1人が免疫保持者ですから、その後感染を拡げ
 ていく感染者は1人になります。同様に三次感染、四次感染、…を引き起こす感染者もずっと1人のままです。式で表わすと2×(1-0.5)=1になります。
  免疫保持者が50%を上回ると感染連鎖を生む感染者は1人未満になり、かつ、二次感染→三次感染→四次感染と進むたびに次第に小さくなっていきます。つまり、感染
 者数は次第に収束していき、いずれ感染は終息します。この場合の50%のことを集団免疫率といいます。
  新型コロナの場合、基本再生産数は2.5とされています。実効再生産数が基本再生産数のまま推移すれば、集団の60%が免疫保持者の場合、2.5×(1-0.6)=1ですか
 ら、三次感染、四次感染、…を引き起こす感染者は、ずっと1人のままになります。したがって、集団免疫率は60%になります。
  他方、新型コロナ対策として、手洗い・マスク着用や行動変容等によって実効再生産数を1.25に下げた場合、集団免疫率は1.25×(1-x)=1を解いて20%になります。実
 効再生産数を1.11に下げた場合、集団免疫率は1.11×(1-x)=1を解いて約10%になります。
  つまり、集団免疫率60%というのは、新型コロナ対策を講じずに実効再生産数が基本再生産数2.5のまま推移する場合のことであって、対策を講じて実効再生産数を下
 げていけば、集団免疫率を下げていくことができるのです。式で表わせば、集団免疫率x=(1-1/R)になるのです。
  以上のことから、「感染者が国民の60%程度に達するまでは、何度も波に襲われる」は間違いであり、実効再生産数を下げるような対策を持続すれば、集団免疫率を下
 げられることがわかります(下掲の宮坂氏インタビュー記事を参照)。
  ただし、席数減・客数減のような企業・店舗に負担を強いる対策を持続するのは困難です。企業・店舗が困るだけでなく、そのような対策は値上げにつながりますから
 、利用者も困ることになります。
  したがって、マスク着用、手洗い徹底、テレワークのような事業者・店舗に負担を強いることのない対策を持続して実効再生産数を低く抑え続けることが第二波対策と
 して重要ということになります。
  ②についても①と同様のことが言え、「検査→隔離」を進めれば進めるほど集団感染率を下げていくことができます。それは、5月11日HPに記したように小田垣モデル
 にも示されているとおりです。
  実効再生産数を下げる対策を続けていけば、また、「検査→隔離」を増やしていけば、今後は休業要請・外出自粛要請を不要にできる可能性は十分あると思います。
  補償なしの休業要請・外出自粛要請など二度と御免蒙りたいものです。
  <関連記事>
  宮坂昌之氏インタビュー記事

◇2020年5月31日
 1.「東京アラート」基準が都を苦しめる
  5月15日HPに「緊急事態宣言の解除基準が東京を苦しめる」と書きましたが、実際には、東京都の陽性者数は緊急事態宣言解除直前に急減し、解除基準をクリアする
 一方、神奈川と北海道で解除基準をクリアできない状態が生じました。
  しかし、国は、神奈川と北海道の状況を無視して、5月25日、緊急事態宣言を解除しました。
  宣言解除に関しては、5月27日HPに書きましたように、経済的ダメージが深刻になってきたことから、また、日本の解除基準が厳し過ぎる(ドイツの100倍)ことから
 やむを得ない措置だったと思います。
  東京都は、宣言解除を受けて休業要請の緩和を進めるにあたり、次の①~③のような主要指標を定めました。
  ①1日の新規感染者数が直近7日間平均で20人未満
  ②感染経路不明者の割合が50%未満
  ③週単位の感染者が減少傾向
  ①~③のうち、一つでも達成できなかった場合、都は原則として医療体制など他の四つの指標(重症患者数,入院患者数,陽性率,受信相談窓口の相談件数)も踏まえなが
 ら東京アラートの発令を検討する、としました。
  また、休業要請の緩和をステップ3まで段階的に進めるとし、一つのステップは2週間程度を目安とする、としました。
  ところが、皮肉なことに宣言解除前後から東京都の新規陽性者数が次第に増加し始めました。5月22日以降30日までの新規陽性者数は、3人、2人、14人,8人,10人,11
 人,15人,22人,14人と推移しており、また②も5月27日以降50%を超え続け、③は5月23日以降一貫して増加傾向、かつ前週比は28日1.07倍,29日1.55倍,30日2.29倍と
 急増しています。より詳しくは、次のサイトを参照してください。
  東京都の感染動向
  都の最新動向を踏まえれば、都は東京アラートを発令しなければならないはずですが、都は「週明けの様子を見て」などといって発令を出すのを渋っています。しか
 し、週明けには、さらに①も満たせなくなると思われますので、アラートを出さないことへの批判はますます高まるでしょう。
  実は、東京アラートの発令には、いくつかの大きな法律上・制度上の問題があります。
  第一に、緊急事態宣言解除に伴い、休業要請の法的根拠がなくなったことです。休業要請は、新型インフルエンザ対策特措法45条に基づき、緊急事態において知事が出
 すことができます。ところが、国が5月25日に緊急事態宣言を解除して緊急事態でなくなってしまったのですから、都が新たに休業要請を出す法的根拠もなくなってしま
 ったのです。同じことは、5月26日以降も続けているステップ1~3の休業要請についても言えます。都は、もっともらしく、ステップ1~3を段階的に緩和すると言っ
 ていますが、あらゆる業種にわたって、休業要請をする法的根拠は全くなくなったのです。
  第二に、5月25日までの休業要請に関しても、パチンコ店・飲食業等の一部、さらには高島屋までが当初から、あるいは途中から応じてきませんでした。特措法45条が
 そもそも憲法29条3項違反濃厚の規定であることが、その大きな要因です。ましてや、上記のように、5月26日以降の休業要請に法的根拠がないのですから、またこれ
 以上休業すれば倒産してしまう企業・店舗が多数ですから、休業要請に応じない業種や企業・店舗が続出することは目に見えています。
  実際、パチンコ店の組合である東京都遊技業協同組合は、5月25日、加盟店に「各々の経営判断に委ねる」とする通知を出し、都の要請に従わずに営業することを認めま
 した。
  第三に、国が「補償は支払わない」としているため、都は休業要請に応じる企業・店舗に二度の休業要請の度に他の道府県がうらやましがるほどの協力金を出してきま
 したが、いくら財政力豊かな都といえども、東京アラート以降の三度目の休業要請に伴って協力金を出すことは財政的に困難です。5月26日のYahooニュースは、都が新
 型コロナ対策で、すでに一兆円もの大盤振舞いをしたこと、及びその主要な原資である財政調整基金(「都の貯金」と呼ばれる)が19年度末9032億円から第二次補正予算
 の20年度末493億円と急減していることを伝えています。
  かといって、協力金が伴わないとなると、三度目の休業要請に応じる企業・店舗は皆無に近くなるでしょう。
  すでに、都は、2週間程度としていた5月26日ステップ1からステップ2への移行をわずかに6日間に縮めましたが、休業要請をめぐる都の混迷は、今後ますます深まり、
 東京アラートの基準が都を苦しめていくと思われます。
  以上、東京都に即して説明しましたが、同様の問題を北九州市も、さらには、今後、北九州市や東京都と同じように陽性者が増えてくる都市も抱えることになります。
 そうなれば、国の緊急事態宣言を経て初めて知事が休業要請を出せることになっている特措法も改正を余儀なくされる可能性があります。
 <関連記事>
  Newsweek2020.5.22 東京都、3段階で休業解除へ
  東京新聞2020.5.30「東京アラート」発令レベル、懸念抱えてステップ2へ
  読売新聞2020.5.30「東京アラート」目安超える 発令は「推移見極めて判断」
  NHK2020.5.26 パチンコ店、全国で85店が倒産や閉店
  TBSNews2020.5.28 「都の休業要請への協力断念」、 パチンコの組合 理事長ら辞職
  Yahooニュース2020.5.26 小池百合子のコロナ対策「1兆円の大盤ぶるまい」 ツケは誰が払うのか

◇2020年6月4日
 1.効果望めない東京アラート
  東京都は、6月2日夜、東京アラートを発動しましたが、やはり、休業要請の伴わないアラート発動でした。
  5月3日HPに記したように、 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業要請には、24条9項に基づく「弱い要請」と45条2項に基づく「強い要請」の二種類が
 あります、「要請」に応えない場合、前者は何もできませんが、後者は、「指示」をしたり、氏名を「公表」したりすることができます。
  東京都がこれまで出してきたのは「強い要請」でした。休業要請に応じないパチンコ店に指示を出したり、氏名公表をしたりできたのは「強い要請」だったからです。
  しかし、「強い要請」ができるのは緊急事態期間中に限られますから、緊急事態宣言が解除された後は「強い要請」をする法的根拠がなくなりました。また、都は「強
 い要請」をする際に協力金を出してきましたが、協力金の財源である財政調整基金が尽きてきたため、これ以上協力金を出すことは財政上も困難です。そのため、休業要
 請の伴わない東京アラートにしたのです。
  「弱い要請」ならば、緊急事態期間中でなくても法的に可能ですが、「弱い要請」には、法的にも財政上も協力金が伴いませんから、その効果は殆ど望めません。それ
 でも東京都には、これ以上打つ手は殆どなくなったので、効果を望めなくても「弱い要請」を出したということです。
  小池知事は、「夜の街」を悪者に仕立て、警視庁と都とで「夜の街」の「見回り隊」を結成することを検討していると報道されていますが、「見回り隊」は、都に打つ
 手がなくなってきたこと、都が追い詰められたことを示しているのです。

◇2020年6月9日
 1.暗礁に乗り上げた東京アラート
  東京アラートが暗礁に乗り上げています。
  東京都は、休業要請の緩和をステップ1からステップ3まで段階的に緩和するとして、5月26日ステップ1、6月1日ステップ2と進めてきましたが、ステップ3へ進むこ
 とができないでいます。
  休業要請の緩和を進めるにあたっての主要指標は次の①~③ですが、①~③を満たすことができないでいるからです。
  ①1日の新規感染者数が直近7日間平均で20人未満
  ②感染経路不明者の割合が50%未満
  ③週単位の感染者が減少傾向
  他方で、①~③のうち、一つでも達成できなかった場合、都は原則として医療体制など他の四つの指標(重症患者数,入院患者数,陽性率,受信相談窓口の相談件数)も踏ま
 えながら東京アラートの発令を検討するとしていましたので、6月2日夜、東京アラートを出しましたが、東京アラートの解除もできないでいます。ステップ3に移れな
 いまま、東京アラートが続くという事態になっているのです。
  6月9日以降は5月25日緊急事態宣言解除の影響が現れてきますから新規感染者が増えていくことは必定であり、この異常事態が今後も続いていくことになるでしょう。
  「法的根拠も補償もない休業要請」、「休業要請の伴わない東京アラート」が招いた当然の結果です。
  都は、「夜の街」対策として、従業員らにPCR検査を受けてもらう方針を発表しましたが、陽性とわかれば仕事を休まざるを得なくなりますから、また、20代・30代の
 感染者は無症状のことが多いですから、「夜の街」の従業員がPCR検査をすすんで受けるとは考えられません。
 2. 打つ手のなくなった専門家会議
  国の新型コロナ対策の方針を決めてきた専門家会議も打つ手がなくなっています。
  専門家会議が最初に採った押谷氏の「クラスター追跡」が市中感染増大で破綻し、二番目に採った西浦氏の「自粛要請」が深刻な経済的ダメージを招いて破綻したこと
 は、今や明らかになっています。
  最近になって、西浦氏が新たに、外国からの感染者入国に関するシミュレーションを発表しました。それによりますと、感染が流行している国から1日当たり10人の感
 染者が入ってきた場合、検疫でのPCR検査やホテルなどでの2週間の待機要請を行ったとしても、3か月後には98.7%の確率で大規模流行が起きるが、1日当たり2人に
 した場合は3か月後に大規模流行が起きる確率は58.1%、1日当たり1人にした場合は35.3%にまで抑えることができるとしています。
  しかし、PCR検査が不十分で国内に多くの無症状感染者がいることが明らかになっているのですから、このシミュレーションが全くあてにならないことは明白です。
 また、「検疫でのPCR検査やホテルなどでの2週間の待機要請を行ったとしても」なぜ大規模流行が起きるのか、わけがわかりません。
  こんなお粗末なシミュレーションを発表せざるを得なくなっているほど、専門家会議は打つ手がなくなっているのです。
  他方で、下水分析により感染を早めに察知する方法が自治体によって取り組まれつつあります。これは、きわめて有効であり、感染者の発生を早期の段階で、またエリ
 アを絞って察知することができます。
  下水分析によりエリアを絞ってPCR検査を進めることが、第二波に備えた対策としてきわめて有効と思われます。
 <関連記事>
  NHK NewsWeb一日10人の感染者入国で3か月後に大規模流行
  北国新聞2020.6.8コロナ流行、下水で把握

◇2020年6月12日
 1.東京アラート解除でも解決されない大きな問題
  11日夜東京アラートが解除されました。
  予想よりも早い解除になったのは、緊急事態宣言解除後の感染者の増加が思ったよりも少なく、休業要請を緩和する主要基準①~③を11日の時点でかろうじてクリアで
 きたからです。今後、感染者が増加して①~③を満たせなくなることは十分あり得ることで、都は11日にクリアできたことでホッとしたことでしょう(と書いていたら、
 12日に早速、基準③を超えてしまいました)。夏に入って高温多湿の気候が今のところ感染激増を抑えていますが、それでも今後、休業再要請を出さざるを得なくなるこ
 とも十分あり得ます。
  東京アラートは、各ステップを進める期間を当初「2週間」としていて、多数の事業者が経済苦に陥り、廃業を余儀なくされそうになっている中でずいぶん悠長な計画
 でした。アラート発表後に、悠長すぎることに気づき、また休業要請を続ける自治体が全国でも東京都だけになったことに慌てたのでしょう、わずか6日後にステップ2に
 進んだのも。都が事業者からの怨嗟の声に慌てたからだと思われます。
  しかし、東京アラートが解除されたからといって、決して安心できませんし、コロナ対策としても大きな問題が残されています。
  第一に、「補償なき休業要請」の問題です。国が補償をしない方針のため、多数の事業者が廃業に追い込まれました。
  財政力のある東京都は、休業要請に応じる事業者に協力金を支払ってきました。しかし、二度の協力金支払いで財源である財政調整基金が尽きかけており、今秋~冬
 に予測されている第二波が来た場合には協力金支払いは不可能です。また、これまでの二度の休業要請においても、パチンコ店や飲食業者、さらには高島屋までが休業要
 請に応じずに営業したことが既成事実になっていますので、第二波では「補償なき休業要請」がほとんど効果を発揮しないと思われます。
  第二に、休業要請は当分出されませんが、「客と客の間を2m空ける」、「客数を半分にする」等の予防対策が「ガイドライン」をつうじて義務づけられます。ガイド
 ラインは各業界が自主的に作るとされているうえ、東京都等の自治体も定めます。いずれにせよ「withコロナ」の「新しい生活様式」として実質的に義務付けられます。
  ガイドラインに従って客間の距離をあけたり、客数を半分にしたりすれば収入は半減します。休業が100%の収入減になるのに対して、50%程度の収入減になり、やは
 り事業者を経済的に苦しめます。しかし、ガイドラインに伴う収入減に対する補償は全く支払われないでしょう。
  民間業者が「ガイドライン」によって経済的に追い詰められるのに対し、小池都知事は「自粛から自衛」へなどと涼しい顔で啓蒙しているだけです。今後、感染が拡が
 っても「自己責任」として無補償で片づけられるのは目に見えています。
  第三に、第一波で感染者を多く受け容れた病院ほど赤字が多くなって経済的に困窮していることです。この問題に国や自治体が対処し、赤字を補填しなければ、第二波
 の際に感染者を受け容れる病院は激減するでしょう。
  直ぐに思いつくだけでも以上のような問題がありますが、これらの問題に行政が真摯に向き合って対策を練り直さないと、第二波が来た際にお手上げ状態になってしま
 うことは間違いありません。

◇2020年6月15日
 1.都が東京アラートの運用を終了
  東京都は、12日、東京アラートの運用を終了することを表明しました。段階的休業要請の仕組みを残すと、今後、アラートを発したり解除したりを繰り返さざるを
 得なくなる恐れがあるからと思われます。現に14日には感染者が47名と倍増し、運用を終了していなければアラートを発せざるを得なくなるところでした。
  この都の迷走ぶりについて、東京アラートに何の意味があったのか、との声も出ています(関連記事参照)。
  東京アラートがこのような醜態を晒した根本原因は、都に「補償無き休業要請」で経済苦に追い込まれた事業者に思いを寄せる姿勢が欠如していることにあります。都
 がそのような姿勢を持たず、パフォーマンスばかり考えているからです。これは、小池知事個人の資質にも、大所帯で官僚化著しい東京都の性質にも起因していると思わ
 れます。このような姿勢が続く限り、都の新型コロナ対策は、今後も迷走を続けるでしょう。
 <関連記事>
  新たなコロナ警戒の目安なし 都が東京アラートの運用終了、軸足は経済に 東京新聞Web200613
  「何の意味があったのか」都民に困惑、第2波不安 東京アラート終了:東京新聞Web200614

 2.ガイドラインによる「縮小営業要請」が業者を苦しめる
  「補償無き休業要請」が事業者を苦しめてきたことは、周知のとおりです。
  国は、特措法に補償制度を盛り込まずに補償責任を休業要請をする自治体に押し付けました。全国知事会が「国による補償」を要求したにもかかわわらず、国は全く応
 じませんでした。
  自治体は、東京都のように財政力のあるところは「協力金」のような制度を設けましたが、最も財政力豊かな東京都も財源が尽きかけています。
  そのため、休業要請を解除するにあたり、国・自治体は狡猾にも「補償無き縮小営業」の仕組みを作っています。
  それは、ガイドラインを作ったうえで、それを根拠に自治体が業者に縮小営業を要請する仕組みです。ガイドラインは、接待を伴う飲食店やライブハウス等については
 国が既に作りましたが、他の多くの業種で業界団体にも作らせているようです。
  ガイドラインと一口に言っても、名前・連絡先の記入やマスク・フェイスシールドの着用など店の収支への影響がわずかで済む対策と2m距離確保・客数50%のような
 影響の大きな対策があるように思います。
  後者は「縮小営業」を強いることになりますから、本来、補償が必要なはずです。しかし、国・自治体は、「補償無き休業補償」がそれほど大きな抵抗なく実施できた
 ことから、「補償無き縮小営業」を要請しようとしています。また、「補償無き縮小営業」を実現するうえで、業界団体を利用しようとしています。業界団体自らがガイ
 ドラインを作ったのだから、という理由で補償を不要とするつもりなのです。
  「補償無き休業要請」で苦しめられてきた業者が、今度は「補償無き縮小営業要請」で長期にわたってさらに苦しめられようとしています。
  憲法29条に基づいて国や自治体に補償させることが、ますます重要になってきています。
 <関連記事>
  接待伴う飲食店など 感染防止へガイドライン公表 経済再生相 _ NHKニュース
  「このガイドラインでは営業不可能」 ライブハウスの拡大防止ガイドライン、実践すると150人キャパが7人に

◇2020年6月25日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.3966
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3966に、拙稿「権利に基づく闘い その7」が掲載されましたので、次に紹介します。
  東京都の新型コロナ対策が迷走していることを指摘するとともに、今後、感染拡大を防ぐためにはどうすればよいかの私論を記しました。
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3966
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3966掲載私論の元原稿
  ニュースNo.3966が発行された6月24日、東京都の新規患者数は一気に55人に増加し、衝撃が走っています。しかし、新規患者数は今後も増加の一途をたどると思わ
 れます。
  抜本的な対策が必要ですが、都の対策のみならず、専門家会議が廃止になったことに示されるように、国の対策も迷走しています。
  専門家会議があてにならないことについてはHPに記してきましたが、押谷氏の「クラスター追跡」も西浦氏の「80%接触削減」も破綻し、新たな方針も打ち出せな
 いことが「廃止」の一つの要因であるように思います。

◇2020年7月3日
 1.東京都の新規患者107人発生にどう対処するか
  東京都の新型コロナ新規患者が7月2日に107人も発生し、衝撃が走っています。
  しかし、都の政策のままでは、感染が都で拡大するとともに次第に周辺県に伝播していくであろうことは、6月25日HPに掲載した「たんぽぽ舎MLニュースNo.3966」
 掲載の拙稿で予想していました。
  その最大の原因は、小池知事が「自分ファースト」でコロナ対策を考えていることです。今回も、知事選出馬に合わせて東京アラートも休業再要請の数値基準も廃止し
 てしまいました。知事選期間中に、東居アラートを出したり、休業を再要請したりしたら、選挙に不利になるからです。
  数値基準を設けておきながら、それを超えそうになると数値基準を廃止するなど、まともな行政ならとうていやれないようなことを現在の東京都は平気で行なってい
 ます。そして、都民に向けて「夜の街に行かないように」との呼びかけだけを行なっています。休業補償を支払うことなく、客に「店に行かないように」との呼びかけを
 行なうことは明白な営業妨害です。行政がやるべき対策をやらず、都民に「自粛」や「自衛」を呼びかけるだけの全く無責任・無能な行政です。
  東京の新型コロナ対策の欠陥が原因になって、埼玉や千葉や栃木等々に感染が拡大していることは明らかですが、それに対して申し訳ないという気持ちのかけらも小池
 知事には感じられません。もちろん謝罪の言葉はありません。
  小池百合子のような権力欲だけの人間を知事にしていることが、東京のみならず、日本全体に禍をもたらしつつあります。
  かといって、国のほうも、有効な手を打てず、専門家会議を廃止し、新たな委員会をつくりますと言っているだけです。
  新型コロナの新たな感染拡大の危機に当たり、有効な手法は、たんぽぽ舎MLニュースNo.3966に書いたように、地域を限定して検査(PCR検査・抗原検査)を徹底するこ
 とです。検査対象地域の限定の方法としては、実効再生産数及び下水調査を用いればよいと思います。下水調査は、症状が出る前でも、また無症状者からもウィルスを検
 知できますから、大変優れた方法です。
  そして、陽性者は「隔離」し、休業が必要になる場合には必ず「休業補償」を支払うことです。
  要するに、「地域を限定した検査の徹底」及び「検査→隔離・休業補償」の制度を整えることが鍵、になります。
  都や国が、そのような制度を創るかどうか、監視していきましょう。

◇2020年7月14日
 1.無為無策の国・東京都
  7月3日に記したように、東京の陽性者は増加を続けて200人台に達するとともに、東京から全国に波及して全国の感染者は400人台に達しています。
  その最大の原因は、国及び都の無為無策にあります。
  国は、「感染防止と経済の両立」を名目に「経済を止めることはしない」と言って、感染防止の責任を自治体に転嫁しているだけです。菅官房長官などは「新型コロナ
 は東京都の問題」と露骨に東京都に責任を擦り付けています。
  国は、緊急事態宣言で「80%削減」を目指し、過度に経済を止めた愚行を繰り返したくないと思っているように思われます。「80%削減」によって苦境に追い込まれた
 業者からの悲鳴・怨嗟の声にあって、規制に及び腰になっているのです。実際、岩手県を初めとした、陽性者の極めて少ない県において「80%削減」を目指す必要は全く
 なかったと思います。
  もう一つの国の本音、かつ都の本音は「補償したくない」にあると思われます。
  国は、自治体のコロナ対策費への助成金として地方創生臨時交付金を設け、一次補正で1兆円、二次補正で2兆円を積み増しましたが、これ以上の助成は避けたいと思っ
 ています。都は、都の貯金にあたる財政調整基金が19年度末9032億円から20年度末493億円と急減してしまったので、これ以上の貯金取り崩しは極力避けたいのです。
  その結果、国の対策は皆無、都の対策は新宿区・豊島区が実施する「夜の街」のPCR検査に助成するだけです。豊島区では、ホストクラブ8軒でPCR検査を実施する
 だけ、新宿区では、陽性者が出た店で実施するだけで、それ以外は、自発的に申し出た店でだけ実施しているだけです。
  小池知事は、新規感染者の急増について「2週間前の一人一人の行動がこのような形で数字となって現われている」「気を付けていただきたい」と責任を都民の行動
 に擦り付けています。注意喚起の手法であったはずの東京アラートも、選挙期間中に再発出したくなくて廃止してしまったために今や何の手法も持ち合わせていません。
  これでは、無為無策に等しく、感染拡大を防げるはずがありません。
  それどころか、第二波が始まったことが明確になった今、国は、第一波が収束した後に実施するはずであった「Go To トラベル」を7月22日から実施すると言ってい
 ます。感染防止どころか感染拡大に税金を注ぐ、とんでもない政策です。
  「東京都の問題」の菅発言に対し、小池知事はGo Toトラベルの実施を批判していますが、お互いに、自らの責任を棚に上げて非難合戦をしているだけです。
  新型コロナは無症状者からも感染することがわかっています。したがって、無症状者に対してもPCR検査を実施することが、感染防止の鍵になります。国・都の対策で
 は、無症状者のPCR検査は皆無に近いので感染を防げるはずがないのです。
  かといって、国民全員にPCR検査をすることは不可能です。PCR検査人数は、かなり増えたとはいえ、一日約1万人に過ぎません。検査能力にしても約3万人しかありま
 せん。仮に、検査能力いっぱい検査するとしても、国民全員を検査するには4000日以上もかかってしまいますから、不可能なことは明らかです。
  したがって、対象区域を絞ったうえでPCR検査をすることが必要になりますが、その絞り方のポイントは、たんぽぽ舎MLニュースNo.3966に書いたように、①実効再
 生産数及び②下水調査にあります。この点は繰り返しになりますが、以下、補足的に説明します。
  下水調査は、7月3日に記したように、症状が出る前でも、また無症状者からもウィルスを検知できますから、一定の区域の下水を調査すれば、その区域内に感染者がい
 るか否かがわかります。したがって、区域を限定するうえで極めて有効かつ不可欠な手法です。
  まずは、ある程度広い区域から始め、ウィルスが検出されれば、次には、1度めの区域をいくつかに分割して、より狭い区域で実施し、‥‥というように、段階的により
 狭い区域で実施すれば、かなり狭い区域に特定できます。そうして特定された区域で住民全員に検査を実施すればいいのです。
  しかし、下水調査も全国いたるところで実施することは困難ですし、その必要もありません。それは、感染者がいまだにゼロの岩手県で実施する必要がないことから明
 らかです。
  下水調査を実施する地域を限定するうえで活用できるのが、一人の感染者から何人が感染するかを示す実効再生産数です。実効再生産数は、人口密度や接触度等によっ
 て変わります。接触度は、マスク着用の度合い、社会的距離の保ち方、手洗いの徹底度等々によって変わります。
  実効再生産数が1未満であれば、感染者数は時間の経過につれて次第に減少していきますから、感染者が出ても感染拡大する恐れはありません。例えば、実効再生産数が
 1/2であれば、感染者数は、1/2→1/4→1/8→1/16…というように減少していきます。
  実効再生産数は、5月22日HPに記したように次のサイトで知ることができますが、47都道府県のうち1以上が14都府県、ゼロが25県です。
  国内感染の状況
  実効再生産数が1以上の都府県でも、実効再生産数は市町村によってまちまちで、都市が高く、農山村は低いはずです。逆に、実効再生産数が1未満の都府県でも、市町
 村によっては1以上の市町村がある可能性もあります。
  したがって、実効再生産数を市町村毎に算出し、それが1以上の市町村に絞って下水調査を実施すればいいでしょう。
  以上のように、実効再生産数と下水調査によって対象区域を限定したうえでPCR検査を実施することが、今後のコロナ対策の鍵になると思います。
  このような無症状者対策を抜きにして新型コロナの感染を防げるはずがありません。

◇2020年8月2日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.3997
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3997に、拙稿「権利に基づく闘い その8」が掲載されましたので、次に紹介します。
  国の新型コロナ対策が行き詰っていることを指摘するとともに、今後、感染拡大を防ぐためにはどうすればよいかの私論を記しました。
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3997
  たんぽぽ舎MLニュースNo.3997掲載私論の元原稿
  拙稿で紹介しましたように、人口百万人あたりのPCR検査件数の国際比較の出所は次のサイトです。
  人口百万人あたりのPCR検査件数の国際比較人口国内感染の状況
  上記サイト2020年8月1日の表、及び人口百万人あたりのPCR検査件数の多い順に並べ替えた表をExcelファイルにしたものを次に掲載します。
  人口百万人あたりのPCR検査件数の国際比較
  検査数の多い順に並べ替えてみると、モナコでは約97%,ルクセンブルグでは約92%の国民にPCR検査を実施していることなどが分かります。
  日本の検査件数の少なさには呆れるばかりです。

◇2020年8月12日
 1.新型コロナは収束するのか
  6月24日に発行された「たんぽぽ舎ニュースNo.3966」に次のようなタイトルの記事を書きました。
  ①新型コロナ感染抑制に失敗しているのは東京都だけ
  ②今後、東京から全国に感染拡大する恐れ
  ③「補償なき休業要請」を「補償の伴う休業要請」に改めること
  ④対象区域を限定して「検査→隔離・休業要請」を実施すること
  8月11日の羽鳥モーニングショーで聞きましたが、国立感染研によれば、3月に中国武漢から入ってきた武漢型や4月に欧米から入ってきた欧米型が収束した後、
 6月に東京で繁華街で無症状者間の感染をつうじて生まれた型が7月以降の全国的感染をもたらしているとのことです。上記①、②の危惧が現実になったということです。
 6月に東京繁華街で徹底したPCR検査を実施していれば第二波を抑えられた可能性があったわけですから、感染抑止の絶好の機会を逃したことが残念でなりません。
  国も都も依然として無為無策の状態が続いていますから、③、④の必要性は、今でも全く変わっていません。
  全国知事会や東京都医師会は③を国に要求していますが、国は応じようとしていません。そればかりか、感染防止を全く行なわないままに、GoToキャンペーンで感染
 の全国拡散を進めています。
  国は、もう感染拡大を防ぐ気持ちを持っていません。すでに、新型コロナ対策の目的を感染防止でなく重症者の抑制に転換しています。そのため、第一波をはるかに上
 回る感染拡大に対して、全く無為無策のまま、憲法に基づく国会開催の要請にもこたえずに、記者会見からも逃げ回っています。「国民の生命を守る」という国の第一の
 使命を放棄した無責任極まる行為です。また、感染が拡大すれば重症者も増えますから、目的としているはずの重傷者抑制とも矛盾する方針です。そのうえ、無症状者も
 心筋の損傷を受けることがわかってきました(次の記事を参照)ので、無症状者も抑止する必要があるのです。
  コロナは無症状でも心臓にダメージ
  世田谷区などのいくつかの自治体で先進的な対策が講じられていますが、それらの対策は当該自治体の地域に限定して実施されますから、効果も限定的です。
  では、国の無為無策が続く中で新型コロナが収束することはあり得るのでしょうか?
  多くの国民が心配しているこの問題は、本来なら感染症専門家が答えるべきですが、政府の「専門家会議」や「分科会」に属する専門家の多くが御用専門家であり、
 真っ当な見解を述べている専門家が上昌弘氏・倉持仁氏・岡田晴恵氏等の数人に限られていること、また、6月下旬の段階で上記①~④を指摘して、それらがほぼ当たって
 いたことから、以下に、私見を記させていただき,ご自分で考える際の参考にしていただければと思います。
 2.ワクチン開発に期待できるか
  感染抑止の展望に関して、たいていはワクチン開発が挙げられます。2012年中には開発されるだろうとの報道がしばしばなされています。
  しかし、新型コロナウィルスは、SARSウイルスやMERSウィルスと同じく、RNAウィルス(遺伝情報にリボ核酸を持つウィルス)で変異しやすいため、ワクチンを作るこ
 とが困難です。SARSやMERSにもワクチンができなかったのはそのためです。それどころか、そもそもウィルスを根絶できたワクチンは、過去、唯一、天然痘ワクチン
 だけです。そのうえ、副作用のことも考慮すると、ワクチン開発には、当面、過大な期待は持てないように思います。
  ワクチン開発については、次の宮坂昌昌之氏の見解が最も的確であるように思われます。
  宮坂昌之氏 ワクチン開発、急ぐべきでない
  個人的には、新型コロナから回復した人の血液を使う血清療法のほうがワクチンよりも期待できると思っています。源流は北里柴三郎にあるようです(次の記事を参照)。   回復者の血液使う治療
 3.集団免疫に期待できるか
  「集団の一定割合が免疫を得れば感染を防止できる」という「集団免疫論」については、5月27日HP等で触れました。
  スウェーデン(人口約1023万人)が、この方針を採りましたが、現在、感染者約8.3万人、死者5766人を数えています。日本の人口約1.265億人に換算すると、
 感染者約103万人、死者約7.13万人になります。日本が、8月10日現在、感染者48,551人、死者1046人であることを考慮すると、集団免疫に期待することは無謀と
 いうほかないでしょう。実際、イギリスも当初は集団免疫を目指しましたが、途中から転換したことは周知のとおりです。
 4.弱毒化に期待できるか
  一般に、ウィルスは、感染が拡がれば拡がるほど、弱毒化します。強い毒性のために宿主(感染した人)が死んでしまえば、ウイルス自身も死ぬことになるので、自ら
 が生き延びるために、弱毒化していくのです。ただし、1918-1921年に世界中に拡大したスペイン風邪のように、第一波よりも第二波のほうが強毒化するような例外も
 あります。
  しかし、まだ様子を見なければいけないとは言われていますが、日本の新型コロナの場合、第一波よりも第二波のほうが弱毒化しているように思われます。それは、
 死亡率=死者/感染者の割合が次第に低下していることに示されています(ひところは4-5%程度だったのに、現在は約2%に低下しています)。
  弱毒化していけば、長期的には、次第に強力なインフルエンザの一種程度になり、さらには、普通のインフルエンザ程度におさまっていくと思われます。

  以上の1~3のうち、3の可能性が最も高いように思われます。
  ただし、新型コロナについては、まだわからないことが多く、3に期待する場合にも、個人個人はできるだけ感染しないようにする努力を忘れてはいけません。
  個人の努力としては、一般に言われるように、マスク、手洗い、距離が大事ですが、当初、「接触感染が主で飛沫感染はない」と言われていたのは間違いで、飛沫感染
 (エアロゾルあるいはマイクロ飛沫と呼ばれる超微細飛沫を含む)が主だと思います。もしも、接触感染が主ならば、電車の吊り輪やコインを媒介とした感染がもっと拡
 がっているはずだからです。コインの扱いの多いレジ係がレジ作業のために感染したとの話しも全く聞きません。
  また、会食やカラオケでの集団感染が多いことは、「話しながらの食事」が大きな感染要因になっていることを示していると思います。話すことによる飛沫が食物に降
 りかかり、呼吸によってのみならず食事によって体内にウィルスが入るからです。この「話しながらの食事」の危険性について留意することが大事だと思います。
  「話すときには食べない」、「食べるときには話さない」を大事にしましょう。

◇2020年8月18日
 〇NHK「忘れられた戦後補償」を見て
  新型コロナは一向に収まる気配を示していません。有効な感染抑止対策を講じないままGoToキャンペーンを進めているのですから、収まるはずがありません。
    国は、全国知事会からの「補償を伴う休業要請が可能になるよう法改正を」との要求を拒み続けており、これが感染拡大をまねく大きな要因になっています。
  国は、なぜ法改正を拒み続けるのでしょうか?そのヒントになる番組が8月15日に放映されました。NHKスペシャル「忘れられた戦後補償」です。*1,*2
  同番組の要旨を以下に記します。
 1.戦時中には、戦時災害保護法に基づき、空襲等による民間被害者に対して金銭的手当てがなされていたが、戦後まもなく、GHQは、軍国主義の温床になって
  いるとして、戦時災害保護法を軍人恩給と共に廃止した。
 2.ところが、軍人恩給のほうは1953年に復活し、その後、特に高度成長期以降、年々積み増しされ、これまでに約60兆円が補償されている。多くの旧軍人が厚生
  省に入るとともに、日本遺族会からの強い働きかけ、及びそれに呼応した政治家の動きがあったからである。他方、民間被害者に対する補償は戦後一貫して拒ま
 れ続けている。
  司法も民間被害者の訴えを斥けた(名古屋空襲訴訟1983年高裁判決, 1987年最高裁判決)。
 3.国及び司法が民間人への戦後補償を認めない理由は、次の①~⑤等である。
  ①財政的に国に大きな余力はない。
  ②戦争による犠牲を憲法等の法律問題にすること自体無理がある。
  ③戦争による犠牲は国民が等しく受忍しなければならない。
  ④国全体が豊かになり、人々の生活が良くなっていくことで、被害はカバーされていく。
  ⓹いま戦後補償をした場合、費用の多くを戦争を知らない世代が負担することになり不公平。
 4.しかし、世界に目を転じれば、日本の戦後補償は異質である。
  ドイツでは、連邦援護法を1950年に制定、国は全ての戦争被害に対する責任があるとして、軍人か民間人かに関わらず、被害に応じた補償をしてきた。イタリア
 でも、民間人にも軍人と同等の戦争年金を支給する法律を1978年に制定した。
  上記①~⑤は民間被害者にのみ当てはまる理由ではありません。それらによって民間被害者への補償を認めないのであれば、軍人・軍属への補償も認められない
 はずです。
  新憲法29条は、公権力の行使によって特別の損失を受け、それが受忍限度を超えている場合に「正当な補償」をしなければならない旨規定しています。空襲等に
 よる民間被害も軍人の被害も国民すべてが受けたわけではありませんから「特別の損失」であり、かつ受忍限度を超えていますから、軍人にも民間被害者にも補償
 されなければならないはずです。ところが、国は、大蔵官僚等、権力の身内ばかりから成る委員会で憲法解釈を行ない、民間被害者への補償を拒み続けてきたのです。
  国の本音は、権力の身内でもなく、軍人・軍属のように権力に従った者でもない、ただの民間人には「補償を払いたくない」にあると考えるほかはありません。
  しかし、このような国の横暴を国民の多くが批判するならば、民間被害に対する無補償を続けられたはずはありません。民間被害への補償を要求する運動に届いた、
 「戦争で苦しんだのはお前たちばかりではない」、「国家の責任にして金をせびろうとする浅ましき乞食根性」などの心ない世論が、被害者を苦しめるとともに、国
 の横暴を支えてきたのです。
  そして、「補償したくない国」と「横暴な国を支える国民」という、この構図は、戦後補償のみならず、日本の公権力行使全般に通底しているように思われます。
 国に忖度したり、おもねったり、国と自己を同一視したりする国民が「横暴な国」を支えるのです。新型コロナにおける国の無補償方針と自粛警察の構図も、その一例
 です。
  同番組に登場するドイツの歴史学者は次のように言っています。
  「個人の被害に国が向き合うことは民主主義の基礎をなすものです」。
  「国家が引き起こした戦争で被害を受けた個人に補償をすることは国家と市民の間の約束です」。
  戦争被害や原発事故被害や休業要請に対して権力に補償をさせることは、金銭の問題のみならず、「生きている証」(同番組での民間被害者の言葉)を求める闘い
 でもあります。さらに、個人的な問題であるのみならず、権力の愚行を防止し、よりよい社会を創るための闘いでもあります。
  権力に「正当な補償」をさせることは戦争や原発のない社会を創る闘いでもあるのです。
 *1: NHKBS1で8月19日深夜(24:00~)に再放送されます。
 *2:番組のナレーションを起こしたファイルを次に掲げます。
  NHK「忘れられた戦後補償」起こし

◇2020年8月20日
 1.たんぽぽ舎MLニュースNo.4006
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4006に、8月18にHPに記した「『忘れられた戦後補償』を見て」が掲載されましたので、次に紹介します。
  元原稿は、8月18日にHPに記しましたので、改めて掲載しません。
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4006
  ちなみに、この拙稿を、高校時代の友人藤原節男君が高校同期生のMLに転送してくれました。藤原君は、元三菱重工業の原発技術者で、原子力安全基盤機構に転職後、
 泊原発の検査技師として異常に気付いて報告書に記したところ、改竄を迫られ、それを拒んだために離職に追い込まれた、誠意と勇気のある技術者です。自ら「原子力
 ドンキホーテ」と称して、同名の著書を著すほか、脱原発等の運動に取り組み続けている頼もしい友人です。原子力ドンキホーテのHPは次の通りです。
  原子力ドンキホーテのHP

◇2020年8月25日
 1.PCR検査推進を阻む感染症村
  感染抑止と経済とを両立させる鍵がPCR検査にあることについては、誰しも認めざるを得なくなっています。そのため、国も表向きは「PCR検査推進」を掲げるように
 なりました。
  ところが、今でも、PCR検査を受けたくても受けられない実態があることが度々報道されています。そして、その原因が感染症村にあることも時折、耳にします。
  では、感染症村とは、具体的には一体何を指すのでしょうか。また、感染症村は、なぜPCR検査推進を阻もうとするのでしょうか。
  この点に関し、8月20日のBSTBS「報道1930」が大変参考になりました。その関連部分の要旨をまとめたレジュメを次に掲げます。
  2020年8月20日報道1930レジュメ
  レジュメのポイントを記すと次の通りです。
  ①日本の公衆衛生のしくみは、明治以来、軍と内務省が作った(感染研(国立感染症研究所)の前身である国立伝染病研究所もその一環)。
  ②厚生省(厚労省の前身)や保健所は、戦時中、戦争遂行のための国策(健民健兵政策)として創られた。
  ③厚労省・感染研は、新型コロナに対しても、患者目線でなく「国が担う公衆衛生」の目線で取り組み、実務を保健所に押し付けている。
  ④厚労省・感染研は、民間PCR検査に自治体との契約が必要としたり、その価格を高く設定したりすることで、今でもPCR検査推進を妨害している、
  感染症村とは「軍・内務省の公衆衛生」の流れを引く厚労省や感染研であり、感染症村は、「国が国策として担う公衆衛生・感染症対策」に固執しているのです。
  お役人は、自分たちの縄張りが侵されることを極端に嫌いますが、厚労省は、自分たちの存在基盤である公衆衛生・感染症対策が自分たちの手を離れ、民(民間医
 療機関)と民(患者)の間で進められていくことを嫌って、許しがたい、認め難いと思っているのです。
  実際、感染症村は、PCR検査の推進を一貫して妨害してきました。
  当初は、「PCR検査を推進すれば医療が崩壊する」と言っていました。
  それが通用しなくなると、今度は、「PCR検査では、擬陽性や擬陰性が不可避」と言い出しました(この点も報道1930において上昌弘氏によって否定されています) 。
  しかし、世界各国でPCR検査が推進されていることが明らかになると、表向きは反対できなくなり、今は、民間によるPCR検査を公費負担で行なうには自治体との契約
 が必要とすること、及び、民間によるPCR検査の価格を高く設定することの二つの方法で妨害しているのです。
  以上のことを端的に言えば、PCR検査推進を巡る闘いは、明治以来、国に独占されてきた公衆衛生を民の手に握るか否かの闘いであると捉えられます。
  明治以来のこの国の体質を変え得る可能性を持った意義ある闘いだと思います。

◇2020年8月29日
 1.コロナ新規感染者数の日独比較
  ドイツ在住の友人望月浩二氏(環境ジャーナリスト)が、ドイツと日本の新型コロナ新規感染者数の推移を比較・分析したファイルを送ってくださいました。
  次に掲載します。
  新型コロナ新規感染者数の推移の日独比較
  ドイツで第二波が生じていないのは、最大限のPCR検査を実施することによって無症状者からの感染を防止できているから、との結論です。
  きわめて納得のいく結論です。
  望月氏に、8月25日HPの「PCR検査推進を阻む感染症村」の内容を伝えたところ、「目からウロコ」の情報です、拡散させていただきます、とのことでした。
  感染症村のことが広く知られるのは、大変有り難いことです。
 2.安倍首相が辞任
  28日、安倍首相が辞意を表明しました。政権を私物化し、モリカケ桜でとっくに逮捕されてしかるべきであった安倍首相が辞めるのは大変めでたいことです。
  ただし、引きずり下ろしたのでなく、本人の病気によってしか辞めさせられなかったのは、残念に思います。
  しかし、元凶が居なくなったのですから、安倍晋三によって壊された日本を少しでも真っ当な社会にしていきたいものです。

◇2020年9月3日
 1.731部隊が戦後の公衆衛生・医学を支配
  731部隊(ななさんいちぶたい)をご存知でしょうか。正式名称は「関東軍防疫給水部本部」で、日本帝国陸軍が1933年に満州ハルピン郊外に設立した研究機
 関です。研究テーマは細菌兵器・生物兵器の開発。そのために、中国人捕虜を「マルタ」と呼んで人体実験を重ねた非人道的研究機関です。指揮官石井四郎の苗
 字をとって「石井部隊」とも呼ばれます。
  731部隊については、2017年12月19日にNHKスペシャル「731部隊の真実ーーエリート医学者と人体実験」が報道されました。その要旨をまとめたファイルを
 次に掲載します。
  NHKスペシャル「731部隊の真実ーーエリート医学者と人体実験」
  より詳しく知りたい方は、次のサイトのYou-tubeを見てください(BGMが著作権にかかり、一部音声無し部分があります)。
  731細菌戦部隊 前編
  731細菌戦部隊 後編
  8月25日HPに、次の①、②を記しました。
  ①日本の公衆衛生のしくみは、明治以来、軍と内務省が作った(感染研(国立感染症研究所)の前身である国立伝染病研究所もその一環)。
  ②厚生省(厚労省の前身)や保健所は、戦時中、戦争遂行のための国策(健民健兵政策)として創られた。
  厚労省誕生の背景・経緯から察すれば、731部隊と厚生省とが密接に関連していたことが伺えます。
  実際、731部隊のメンバーは、戦後、人体実験の罪を問われるどころか、日本の公衆衛生や医学の分野で要職を占めるようになっていくのです。
  731部隊の戦後の動向については、次のファイルをご覧ください。エイズの血液製剤事件を起こしたミドリ十字を初め国立予防衛生研究所(1947年設立、国立
 感染研究所(1997年設立)の前身)、その他の大学・研究機関にいかに多くの731部隊のメンバーが移ったかがわかります。
  731部隊員の戦後
  戦後日本の公害や放射能被曝についても、731部隊の系譜に連なる人々が関与しています。
  田宮猛雄(ファイル「731部隊員の戦後」の最後に掲載)は1948年から1963年に亡くなるまで日本医学会会長を務めましたが、水俣病では業界団体の設置した
 水俣病研究会懇談会(通称「田宮委員会」)の委員長となり、清浦東工大教授によるアミン原因説を発表して原因究明を混乱させました。
  長崎大学は、日本の放射線被曝研究の中心になっていますが、731部隊との関連が強い大学です。その中心になったのが福見秀雄で国立予防衛生研究所所長を
 経て長崎大学に就任し、1955年には学長にもなりました。被曝者の疫学調査で有名な長瀧重信も長崎大学で福見秀雄の同僚であり、その弟子が、福島原発事故
 後、福島で「年間100ミリシーベルト以下なら大丈夫」と説いて回り、「ミスター100ミリシーベルト」と呼ばれた山下俊一です。
  以上のように、731部隊の系譜に連なる人々が戦後の公衆衛生・医学を支配し、公害や放射能被曝で国や大企業を擁護してきた、と言えます。そして、いまPCR
 検査の推進を阻んでいる感染症村もその系譜に連なっている勢力です。
 2.モノクローナル抗体
  8月12日HPに、「血清療法」について次のように書きました。
  個人的には、新型コロナから回復した人の血液を使う血清療法のほうがワクチンよりも期待できると思っています。源流は北里柴三郎にあるようです(次の記事
 を参照)。
  回復者の血液使う治療
  この「血清療法」(「抗血清療法」とも呼びます)は、近年の免疫学とバイオテクノロジーの進展によって、抗体医薬に発展してきているようです。
  9月3日の羽鳥モーニングショーの「そもそも総研」で新型コロナの特効薬「モノクローナル抗体」について報告されました。
  島根大学浦野健教授によれば、モノクローナル抗体のポイントは、次のようです。
  ①新型コロナに罹患して回復した人に生成された抗体を人工的に培養したものであり、特効薬として期待できる。
  ②既存薬のアビガン等はウィルスの増殖を防ぐ薬であるため、ウィルスが増えてしまった重症患者には効き難いのに対し、モノクローナル抗体はウィルスを排除
   できるため、重症患者にも効く。
  ③もともと人体に生成した抗体であるので副作用の恐れは殆どない。
  ④現時点では非常に高価であり、一回につき約15万円(30%自己負担で4.5万円)かかるが、今後、量産されるようになれば、安くなっていく。
  8月12日に記したように、ワクチンは、やはり、新型コロナウィルスが変異しやすいこと、及び副作用の点からあまり期待できず、製薬会社もモノクローナル抗
 体のほうに重点を置き始めたそうです。見込みとしては、来年初めに実用化できるのはないか、とのことでした。
  モノクローナル抗体は、最も期待できると思います。

◇2020年9月5日
 1.新型コロナと731部隊の闇の連鎖
  「新型コロナと731部隊の闇の連鎖」と題する斎藤充功氏の論稿が『昭和の不思議101 2020年秋の男祭号』に掲載されています。
  セブンイレブンで見かけて購入しましたが、やはり、8月25日掲載の報道1930レジュメに登場する上昌弘氏からの取材をもとに書かれています。
  「新型コロナと731部隊の闇の連鎖」冒頭写真
  著作権の関係で詳しくは紹介できませんが、新しい情報のうち次の二点だけを記しておきます。
  ①石井部隊が東京裁判で戦犯としての追及を免れたのは、米国が石井部隊の研究成果を独占したかったから。
   この点については、次のサイト、ファイルを参照。
  731部隊と「戦犯免責」
  731部隊員と「戦犯免責」
  ②新型コロナの専門家委員会(後に分科会)のメンバーを選任しているのは厚生省技官で、12名のうち8名が731部隊に由来する組織(国立感染症研究所、東京
   大学医科学研究所、国立国際医療研究センター、東京慈恵医大)の現職者・退職者から選ばれている。
  興味を持たれた方は、なくならないうちにセブンイレブン等でお求めください。

◇2020年9月13日
 1.沖縄県が実効再生産数を活用して感染抑止
  新型コロナの感染防止と経済との両立を図るにはPCR検査が鍵になることは、これまで記してきましたが、社会的にもほぼ合意ができたようです。
  有症状者に対する医療のためのPCR検査は「医療的検査」と呼ばれ、経済との両立を図るためのPCR検査は「社会的検査」と呼ばれていますが、経済との両立の
 鍵は、社会的検査としてのPCR検査を如何に進めるか、という点にあります。
  この点に関し、9月11日BSTBS報道1930と9月12日TBS報道特集が参考になりました。
  まず、報道1930では、児玉龍彦東大先端研名誉教授により次の①~③が指摘されました。
  ①陽性者の発生は、斑模様であり、地域的にバラツキがある。
  ②第一波が収束し、感染者が新宿のエピセンターにほぼ限られていた時に、PCR検査をエピセンターで面的に実施したら、第二波を防げた可能性があった。
  ③社会的検査は、公費負担がなく、3~5万円かかるが、プール方式(4検体を一度に検査)を使えば、5000円程度に、さらに大量検査で試薬が安く入手できれ
   ば3000円程度で可能になる。
  9月12日報道特集では、8月1日に緊急事態宣言を出したほど深刻化した沖縄県の感染を抑えていくうえで、県の疫学・統計解析チーム(県が招いた京大水本憲治
 特定助教はじめ5人のチーム)による次の④、⑤が効果をあげたことが報告されました。
  ④週1回実効再生産数を出してもらい流行の広がり状況を知った。
  ⓹重症・死亡者数試算(今後1週間見込み)を医療圏別(北部・中部・那覇市・南部・宮古・八重山の六圏)に行ない、重症者向けベッド確保のため軽症者をス
   ムーズにホテルに転院させた。
  これまで、本HPで、PCR検査の対象地域を限定するうえで、実効再生産数及び下水調査を活用することが有効ではないか、と記してきましたが、実際に沖縄県で実
 効再生産数を活用して感染抑止が図られていることを知って嬉しく思いました。
  もう一つの下水調査に関しては、次の朝日新聞デジタル7月29日記事「下水でコロナの予兆チェック」を参照してください。秋までには、標準的検査として確立でき
 る見込みということです。下水調査にも期待しましょう。
  下水でコロナの予兆チェック

◇2020年9月20日
 1.致命率が下がった四つの理由
  新型コロナに因る致命率(死亡者数/感染者数)は、第1波と比べ、第2波では著しく下がっています。それは、累計の致命率で見るより、各月の致命率で見たほう
 明確に分かります。累計の致命率と各月の致命率(限界致命率)の推移を示した表を次に掲げます。
  致命率と限界致命率の推移
  全国の限界致命率は、2020年5月19.2%が2020年7月には0.2%と約100分の1に低下しています。
  この限界致命率の推移を見て、8月12日HPに次のように書きました。
   まだ様子を見なければいけないとは言われていますが、日本の新型コロナの場合、第一波よりも第二波のほうが弱毒化しているように思われます。それは、
  死亡率=死者/感染者の割合が次第に低下していることに示されています(ひところは4-5%程度だったのに、現在は約2%に低下しています)。
  しかし、弱毒化はしていない、ということが定説になりつつありますので、謹んで訂正しておきます。
  ならば、限界致命率が低下した要因は何でしょうか。
  毎日デジタル「新型コロナ 大きく下がった第2波の致命率」(2020年9月17日)によれば、次の四つの要因があげられています。
  ①新型コロナの検査を受けられる人が増え、無症状や軽症の感染者が多く見つかるようになった。
  ②第2波は、第1波に比べて若い感染者が多い。
  ③第2波の高齢者は第1波に比べ、施設内や病院内で感染した人の割合が低く、いわば「健康な高齢者」の割合が高くなった。
  ④病院内での治療プロトコル(手順)が確立された。
  ①~④は、いずれも納得のいく要因です。①~④を挙げた記事を次に掲げておきます。
  新型コロナ 大きく下がった第2波の致命率
  しかし、もっと端的に言えば、厚労省・専門家会議が当初掲げていた「37.5度、4日間」というPCR検査の受診要件が間違っていたということです。
  その後、厚労省も専門家会議も、「そんな要件は言っていない」と責任逃れの発言をしましたが、国民全員が聞いていた受診要件でした。ここでもまた、責任を曖昧
 にしたまま責任者を免責してしまう日本の悪しき体質が現れています(首相交代により、安倍晋三の犯罪を曖昧にしたままにしようという動きと同根です)。
  第2波はかなり収束してきたとはいえ、感染者数も致命率も最近は漸増しています。おそらく、猛暑が過ぎ、次第に涼しくなってきたためでしょう。
  ということは、秋から冬にかけて確実に第3波が来るということです。第3波はインフルエンザ等と共に襲来しますので、これまで以上に警戒が必要です。

◇2020年9月24日
 1.日独仏のコロナ新規感染者の推移比較
  ドイツ在住の環境ジャーナリスト望月浩二さんが、最新の日独仏新型コロナ感染者数の推移比較のデータを送って下さいましたので、次に掲げます。
  日仏で第二波を迎えたのに対し、ドイツでは第二波の発生を抑えられていることが見事に示されています。その理由は、徹底したPCR検査によって、無症状者からの
 感染を抑えられている点にあるとのことです。日本にとって大変参考になるデータです。
  しかし、日本では、無症状者を発見できるようなPCR検査は実施されていません。このままでは第三波の到来が必至です。
  日独仏新型コロナ感染者数の推移比較
 2.たんぽぽ舎MLニュースNo.4035
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4035に「休業要請に伴う補償」につていのが掲載されましたので、次に紹介します。
  見出しは次の通りです。
   新型コロナ第三波では休業補償の義務化が必要
   休業補償は財産権(営業権)侵害に伴う営業補償であり、憲法29条に基づく
   公権力は憲法29条を恣意的に運用している
   憲法を活かして権力と闘うことが国民主権の鍵
  たんぽぽ舎MLニュースNo.4035

◇2020年10月23日
 1.日独仏のコロナ新規感染者の推移比較
  ドイツ在住の環境ジャーナリスト望月浩二さんが、最新の日独仏新型コロナ感染者数の推移比較のデータを送って下さいましたので、9月24日に引き続き、
 次に掲げます。
  日独仏新型コロナ感染者数の推移比較2020.10.22